海外ホテルからの手数料は課税?免税? -旅行業と消費税(2) 

旅行・観光ビジネスで役立つ税知識 <第3回>

(海外旅行編)

こんにちは。税理士の菊池美奈です。

前回は国内旅行と消費税についてお話しましたが、今回は海外旅行関係について見ていきます。海外旅行と消費税については、複雑な課税関係がありますが、それを誤ると納税額に大きな差が生じてしまいます。会社の経営に大きな影響を与えることになりますので、慎重な取り扱いが必要になります。


▼海外旅行での消費税、ポイントはサービス提供の場所

消費税は、「国内において行われた」取引が課税の対象になります。旅行業の場合は、旅行というサービスの提供が行われた場所が「国内」なのか「国外」なのかで判断します。サービスの提供が行われた場所が国外であれば、日本の消費税とは無関係なので不課税となります。

不課税と似たものに輸出免税という取引があります。自国の消費税を外国に負担させないというのが国際的な慣行になっていて、いくつかの取引は消費税を免除されています。日本からの物品の輸出、外国との通信、外航船舶の貸付等いくつかのものが輸出免税として挙げられていますが、日本から外国にわたる「旅客」も輸出免税のひとつです。


▼パッケージツアーの消費税、全体を不課税として処理が可能

海外パッケージツアーで、成田発ハワイ行き、ハワイのホテルで過ごし、成田に帰着して解散するという旅行があったとします。成田からハワイ間の飛行機代金は、日本から海外にわたる旅客なので免税、ハワイのホテル代等は国外でのサービスなので不課税となります。しかし、取引を細分化するのは煩雑なので、全体を不課税として経理することも認められています。ただし、パスポート申請等の事務代行手数料や、国内のホテルや飛行機代などは課税取引になり、消費税がかかります。

また、例外として下記の取り扱いもあります。例えば、札幌からハワイに行くツアーがあったとします。札幌から国内線で羽田に行き、そこから成田に向かい、成田からハワイに飛びました。この場合、原則的には、札幌から成田までは国内取引として消費税は課税になりますが、乗換地の羽田から成田の移動時間が24時間以内の時は、全体を免税として扱ってよいという規定があります。


▼旅行者からの「手数料」は課税対象、海外ホテルの場合は?

手配旅行の場合の消費税ですが、国内旅行と同様の考え方になります。募集型企画旅行は全体を、課税や不課税・免税などに区分します。手配旅行は旅行代金からホテル代や飛行機代を差引いた手数料のみを売上げとしますが、旅行者から受ける手数料は国内でのサービスなので消費税は課税になります。仮に海外のホテルなどから手数料をもらった場合に、そのホテルの日本支店等から支払いを受けていれば課税の売上げになり、海外のホテル等から直接受け取っていたら不課税の扱いになります。


▼添乗員と現地係員にかかる消費税の違い

海外旅行は売上だけでなく、経費についても消費税が課税・不課税などが混在します。例えば添乗員の費用があります。現地係員のみがサービスを行う場合は、サービスの提供場所が国外なので不課税となり消費税はかかりません。日本からずっと添乗員が付き添うツアーである場合は、国内と国外の両方でサービスが提供されていますので、国外と国内の判定が必要になります。その判定方法は、添乗員が所属している事務所等の場所で判定することになります。日本の派遣会社や旅行会社の従業員が添乗していれば課税の仕入になります。

参考記事>>>旅行・観光ビジネスで役立つ税知識 <第2回> 旅行業と消費税(1)

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