日本旅行業協会(JATA)は、このほど開催されたJATA旅博2013の会場内で「日本のクルーズ市場」と題するセミナーを開催した。これは、旅行業界日にロイヤル・カリビアン・インターナショナル(RCI)やセレブリティ・クルーズの日本地区総販売代理店を務めるミキ・ツーリストの糸川雄介クルーズカンパニー長を講師に招いて旅行会社を対象に行ったもの。講師を務めた糸川氏は「クルーズが注目され始めた今、その取り扱いを始めることが、先駆者としてのメリットを享受できる時期だ」と語り、旅行会社に一刻も早いクルーズ商品の取扱いを訴えた。
▼クルーズは旅行会社にとって「身近な商品」
営業効率が高く、高い収益性で
同氏は、クルーズ商品の特徴として、高い収益率、営業効率が高い(手離れが良い)などを上げた。特に営業効率の高さについては、移動、宿泊、食事、エンターテイメントを内包しているクルーズは、クルーズ会社1社との交渉だけですべてが完結できる点を強調。販売面でも、日本発着クルーズの場合なら外国船でも各社が専用パンフレットを作成しているほか、国内の観光地を訪れるコース内容であるため、旅行会社によっては国内旅行セクションの管轄となるなど、非常に身近な商品として取り扱うことができるものと説明した。
さらに、外国船の日本発着クルーズでは、欧米および中国から日本を訪れるインバウンドの旅客も視野に入れた営業展開が可能という点を指摘。幅広い視野での取り組みを訴えた。
▼日本発着クルーズの浸透で「大きな転換期」
2016年には50万人規模に
糸川氏は日本におけるクルーズの現状について、2013年は外国船の日本発着クルーズが始まったことで「大きな転換期に来た」と述べた。これは、クルーズ元年と呼ばれた1989年以来、20万人足らずで推移してき国内のクルーズ人口が、2013年を契機に大幅な増加をみせているもの。RCI、プリンセス・クルーズ、コスタ・クルーズがそれぞれ日本発着クルーズを実施したことで、各社3隻の客船だけで約4万7000人もの大幅に増加。また、プリンセス・クルーズは2014年に1社で10万人分の供給を行うと発表している。こうした動きは、これまで日本には1泊4万円以上の料金設定の客船しかなかったが、先に述べた外国船は1泊1万円前後と安価に設定されて大きな注目を集め、しかも乗客の満足度が非常に高いためであると指摘。同氏はクルーズ市場の今後の可能性については、「国内のクルーズ市場は今後3年ほどで50万人規模に膨らむだろう。」と予想している。