【インタビュー】フランス観光開発機構 在日代表フレデリック・メイエール氏

日仏交流とSNSで日本市場にアプローチ

フランス現地の日本人への期待も高く

フランス観光開発機構は、2013年9月24日(火)、25日(水)の両日、東京で「SAKIDORI FRANCE 2013」を開催した。このイベントは、同機構が毎年恒例としている旅行業界・プレスを対象とした商談会。今年は、フランスから過去最多の43企業・団体が来日し活発な情報交換を行った。これは、日本市場への期待の高まりともいえる動きだ。

今回の開催あたり、フランス観光開発機構在日代表であるフレデリック・メイエール氏に、現状の振り返りと今後の取り組みについて聞いた。


-2012年は、フランスへの観光客が前年比大幅増になりました。この要因について、どのように見ておられますか?

メイエール氏:我々の最大のビジネスパートナーであるエールフランス航空は、大量の輸送力をもつA380を持っており、その一助もあって、2012年には、フランスへの観光客数が全体で8300万人と、世界最高の新記録となりました。欧州内の観光が好調だったこと、新興国いわゆるBRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)からの観光客が増えました。日本人観光客数も2011年と比較して、年間で19%のアップの73万人、延べ宿泊数400万泊と大きく貢献をしています。

>>> フランス、2012年の外国人客数が過去最高、世界1位に


―2013年、フランスへの日本人観光客の状況と目標について教えてください。

メイエール氏:2012年の日本からの観光客数が好調だったのは、やはり円高の追い風が大きかったと思います。現在、円は対ユーロで昨年から3割落ちており、欧州内は悪くないですが、日本からの観光についてこの円安はやはりハンデになります。エールフランス航空は、2013年10月には会社創立80周年を迎え、まだまだ輸送キャパシティがありますから、少なくとも横ばい、なんとか年間5%アップという目標を追いかけたいと思います。

今年の「SAKIDORI FRANCE 2103」は、フランスから過去最多の参加者数で、これはアジア諸国の開催のなかでは一番多い数字です。2008年に国交150周年を迎えた日本とフランス、今年で155周年。ホテルも日本人客の好みに合わせて、和食やバスタブ付き客室の用意など、日本からのお客様をよりよくお迎えすべくサービス向上に努めています。文化施設、世界遺産、自然、ホテル、買い物などフランスの観光にはまだまだポテンシャルがありますから、まだ数字を伸ばしてくれることを期待しています。


―「SAKIDORI FRANCE 2013」は、大変に活況ですね。

メイエール氏:今回、出展は43企業団体、参加が56名と過去最高となりました。内訳は、今回の名誉ホスト出展者であるパリ・イル・ド・フランス地方から13、西北フランス5、東北フランス3、東南フランス10、西南フランス7、全国展開5と、フランスを日本に紹介するべく、すべての地域が参加をしてくれて、大変充実したものになったと思います。


―今年6月のオランド仏大統領の国賓訪問を機に、観光分野では初の日仏協力の共同声明が調印されました。共通キャンペーンや各種の協力が予定されているそうですね。

メイエール氏:はい、この日仏共同宣言の調印によって、日仏で共通ビジュアルを使ってのPRキャンペーンをすることが決まっています。例えば、「パリのエッフェル塔と東京タワーを互いに若い女性やシニアなど多様な観光客や訪れている」というビジュアルを使ったポスターで、日本では9月に首都圏JRや東京メトロで、パリでは10月下旬にメトロ駅構内で実施します。フランス国内では普段は広告を入れない国営放送に、30秒コマーシャルを入れてフランス観光親善大使である川島なお美さんが登場して旅やフランスの魅力をフランス語で語っています。

この共同宣言以外にも、毎年8月に世界中のフランス大使を本国に集めての会議があるのですが、今年はその場でも大統領は「観光は国の大義である」という話をされていて、観光によるイメージアップや雇用創出、外貨の獲得が期待されています。フランスの観光客数は世界一ですが、観光収入は世界第3位なので。

>>> 日本とフランス、観光協力で共同声明 -若年層、地方など強化



―フランス観光開発機構の具体的な取り組みを教えてください。

Château de Versailles (c)Mairie de Versailles

メイエール氏:フランス観光開発機構では、日仏交流のための機会や設備、技術といった技術供与を行っています。また、プロモーションの方向性として、SNS(ソーシャルネットワークシステム)の構築に昨年から力を入れており、facebookは2万5000人、twitterでは7000人のフォロワーを獲得しています。日本のSNSの現状に合わせて、例えばtwitterであれば一般向け、旅行業界向け、プレス向けと3種類を発信してアプローチを図っています。

また、旅行業界における協力も数多く会社と行っていますが、なかもでHISと行った一般コンシューマー向け「フランス検定」や、私どもの「フランス女子会」キャンペーンサイトとJTB「フランス女子旅」のサイトの相互リンクなどを実施したほか、ファムトリップも7、8社と行いました。

そのほか、旅行業界向け教育ツアーや、セミナー、ニュースレターの発行、フランス観光開発機構本部が毎年フランスで開催のトラベルマート「ランデブー・アン・フランス」の実施など、フランスの豊かな観光資源を活かしていただけるよう今後もサポートをしていきたいと思っております。

>>> HIS、フランス観光開発機構と「フランス検定」、合格者に5000円クーポン

>>> フランス観光開発機構、「フランス女子会」キャンペーン実施

―ありがとうございました。

【編集部の目】


日本人観光客に人気が高い国、フランス。日本の消費者に向けて旅行業界と連携した様々な取組みが効果を発揮しています。現地の受入れ体制も、日本人の嗜好に対応する努力をしている事実も伺うことができました。

また、今回のインタビューは「交流」もポイント。日本代表のメイエール氏がインとアウトの双方を語る姿は、さすが「観光先進国」フランスです。大統領が各国に赴任している大使に観光の重要性を説くなど、日本も見習うことが多くありそうです。


みんなのVOICEこの記事を読んで思った意見や感想を書いてください。

観光産業ニュース「トラベルボイス」編集部から届く

一歩先の未来がみえるメルマガ「今日のヘッドライン」 、もうご登録済みですよね?

もし未だ登録していないなら…