成田と関西から本拠地ドーハへ毎日ノンストップで結ぶカタール航空が2013年10月30日、世界3大アライアンスの一つである「ワンワールド」に正式加盟し、前日の10月29日に記念式典が開催された。
カタール航空は現在、中東やアフリカのほかアジア、オセアニア、ヨーロッパ、南北アメリカの70カ国・130都市に就航している。同社がメンバーに加わったことでカタールの首都ドーハがワンワールの拠点の一になり、エチオピア、イラン、ルワンダ、セルビア、タンザニアの5カ国・20都市以上がそのネットワークに追加された。ワンワールド全体ではこれで世界150カ国以上が結ばれ、約3,300機の航空機で毎日1万4,000便を運航、年間での利用者は4億8,000万人にまで膨れ上がる。
ここでカタール航空について、簡単に紹介しておこう。
カタール航空は1994年に設立された新しい航空会社でありながら、そのサービスのクオリティの高さには定評がある。独自調査に加え1,800万人もの個人旅客へのアンケートをもとに航空会社の評価を行っている国際運輸調査機関スカイトラックス社からは、世界で7社しなかい「5つ星エアライン」の1社に認定。また世界の200を超える航空会社の中で2011年、2012年と2年連続で「エアライン・オブ・ザ・イヤー」に輝いた。
同社の“もてなし”の中でも、とりわけ評価が高いのが「ビジネスクラス」のサービスだ。成田線に就航しているボーイング777-300ERを例にとると、シートは横1列を“2-2-2”の6席でゆとりのレイアウト。私も今回、成田からドーハへの便で改めて利用してみたが、包み込むようなシェル型デザインで隣席がまったく気にならない。就寝時には全長約2メートルのフルフラット・ベッドになり、腰の疲れを和らげるランバーサポートやマッサージ機能も完備している。またフライトの一番の楽しみというと「食事」と答える人が多いが、その点でもカタール航空は人気だ。機内食は和食、洋食、アラブ料理などのメニューから選択できる。しかも決まったタイミングで乗客全員にカートでサービスされるのではなく、それぞれが好きな時間に注文でき、一人ひとりにトレーで提供する「ファイン・ダイニング」と呼ばれるスタイルを採用。著名ソムリエが選りすぐった世界各地のワインやシャンパンも豊富に用意されている。私と同じ便に乗っていたビジネスマン風の男性も「サービスが行き届いていて、いつもとても快適な時間を過ごさせてもらっている」と満足そうに話していた。
カタール航空のワンワールド加盟で、日本から南欧やアフリカへもドーハ経由でスムーズなアクセスが可能になった。成田線・関西線とも仕事を終えた夜に日本を出発。ドーハには翌日早朝に到着するから、現地では初日を朝からフル活用できる。前述したようにドーハからは70カ国・130都市にネットワークが張り巡らされ、乗り継ぎ便の時間設定もいい。またドーハからの帰国便も遅い時間に現地を発つので、どの地域からのフライトからも無理なく乗り継ぐことができるし、ドーハに滞在していた人も最終日をまるまる有効に使うことが可能だ。あとは飛行機に乗っていかに身体を休められるかということになるが、そこで改めて「5つ星」の快適さが威力を発揮する。
現在は成田空港の第1ターミナル南ウイングを使用し、ANAとのコードシェア運航を続けているが、ワンワールド加盟により今後はJALとの関係が密接になるだろう。首都ドーハで建設が進む新しい国際空港で開催された加盟式典には、JALの大西賢代表取締役会長も列席。式典後の私のインタビューに、大西氏は次のように答えてくれた。
「ワンワールドは一貫してクオリティを追求してきたアライアンスで、ボリューム(チームを組むことによるスケールメリット)は高いクオリティのあとに自然についてくるというのが私たちの考え方です。その意味でも、素晴らしい仲間が加わったことを心から喜びたい。質の高いサービスで多くの日本旅行者に評価されているカタール航空とJALが手を結ぶことで、今後はより高いシナジー効果が生まれると期待しています」
- 作家/航空ジャーナリスト 秋本俊二
- 取材協力:カタール航空
参考記事 >> カタール航空、ワンワールドに正式加盟、記念キャンペーンなど実施