旅行・観光ビジネスで役立つ税知識<第7回>
こんにちは。税理士の菊池美菜です。
インターネットを通じての海外取引は消費税の取り扱いについて注意が必要です。先日の新聞でも、海外から配信される電子書籍や音楽などは、消費税がかからないので、国内で購入する書籍等より消費税分安く購入できます。そのため、国内の書店などが危機感を募らせているとありました。来年4月の消費増税を前に、出版等の業界は「不公平だ」と是正を要望しているそうですが、海外企業への消費税課税の実現は容易ではありません。
消費税は、言うまでもなく日本の法律なので、日本国内取引が課税対象になります。それでは「日本国内」かどうかの判定は?というと、「サービスが提供された場所」となります。インターネットでのサービス提供は、世界中に配信することができますので、「国内及び国内以外の地域に渡って行われた」と考えられます。国内・国外にまたがるものは、サービス提供の事務所・事業所の所在地が国内にあるかどうかで判定します。
楽天KOBO、アマゾンが販売するKindle海外から配信されるので、消費税がかかりません。グーグルアドワーズ(検索連動型広告)は、サービス提供が日本法人ではなく、海外のグーグルなので消費税はかかりません。
会社で経理を行う時には、サービスの提供が行われた場所、日本法人があるかどうかなどをチェックした上で、消費税がかからないものは、不課税取引として経理します。納税する消費税を計算する時は、原則的には、売上げにかかる消費税から、経費にかかる消費税を差引いて計算しますが、上記の不課税取引は、売上にかかる消費税から控除できないことになります。
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