国際航空運送協会(IATA)は、このほど2013年から2017年まで5年間の航空需要予測を発表した。発表によると、2017年における世界の航空旅客数は2012年と比べて31%(9億3000万人)増え、39億1000万人になる見通し。また、年間平均成長率(CAGR)は5.4%で、世界的な経済危機や景気後退などの影響を受けた2008年から2012年までの平均4.3%増を上回る見込みだ。(年間平均成長率のランキングは下段に掲載)
▼2017年、国際線旅客は約3億人増(25%増)の15億人に
IATAは、国際線旅客数について、2012年の12億人から25%増加し、2017年には15億人になると予測。年間成長率を地域毎にみると、中近東が6.3%、アジア太平洋地域が5.7%と高い傾向に。また、アフリカが5.3%、南米が4.5%と続き、経済成長の著しい地域の牽引力の強さが目立つ。
IATAのトニー・タイラーCEOは、これらの地域の各国政府もそのビジネスチャンスについては認識しているようだが、「ベネフィットを最大化させるためには、航空業に対する視点を『贅沢なドル箱産業』から『経済を前進させるための実用的で強力な荷馬』だという風に転換する必要がある」と指摘している。
‐国際線はアメリカ市場がトップに
国際線旅客数を国別に見ると、アメリカは2017年までにドイツからトップの座を奪還する見込みだ。ドイツは12年の1億4940万人から2720万人増加する (年間平均成長率は3.4%)予測なのに対し、アメリカは12年の1億4930万人から2017年には2820万人増の1億7750万人(年間平均成長率3.5%)となる見通しが示された。
▼2017年、国内線旅客は約6億人増(35%増)の24億6000万人に
一方、国内線の旅客数は2012年の18億2000万人から35%増えて24億6000万人になる見込み。このうちアメリカは2017年の国内線旅客数が6億7780万人となり、年間平均成長率が2.2%・7000万人増と成長率は低いものの、世界最大の市場規模を維持するようだ。
2位は中国で、年間平均成長率は10.2%、2017年には4億8790万人となる見通し。中国を含むアジア太平洋地域では5年間で約3億人が増加する見込みだが、そのうち2億2500万人、もしくは75%が国内線旅客になると予想されている。
▼新しい旅客の24%が中国、世界の航空市場を牽引
IATAは、中国国内路線および中国への乗り継ぎ路線は、世界の航空市場を牽引する最大の要因となると予測している。同予測期間に増えると予測されている新しい旅客の24%の2億2740万人を占め、そのうち国内線が1億9500万人、国際線が3240万人とみている。
▼アジア・中近東が急成長、北米・欧州はシェア縮小
また、エリア毎にみると、アジア太平洋の旅客は年間成長率5.7%で成長し、域内での旅客輸送量は2017年には世界全体の31.7%と、2012年の28.2%から3.5ポイントもシェアを拡大する見通しだ。一方で北米は26%から24%に、ヨーロッパは24%から23%にそれぞれシェアを縮小。国際線の旅客においては、中近東が年間成長率6.3%と地域別では最大の伸び率となるが、北米は最も伸び幅の少ない3.6%となる見込み。ヨーロッパは3.9%、南米は4.5%と予測されている。
【国際線の年間平均成長率ランキング】
IATAが示した、国別の年間平均成長率については、以下のとおりとなった。
- ウズベキスタン (10.3% CAGR)
- カザフスタン(9.0% CAGR)
- ロシア (7.7% CAGR)
- トルコ (7.6% CAGR)
- オマーン(7.5% CAGR)
- 中国 (7.1% CAGR)
- ベトナム (6.9% CAGR)
- サウジアラビア (6.9% CAGR)
- アゼルバイジャン (6.8% CAGR)
- パキスタン (6.7% CAGR)
参考記事>>>