JATA、観光危機管理で組織的マネジメントのあり方を策定、IT活用も提案へ

日本旅行業協会(JATA)は、「観光危機管理における組織的マネジメントのあり方」を策定し、提言として2013年末に観光庁に提出した。また、「旅行安全マネジメント」についての取組みを強化する。

提案の内容は、「観光危機管理の全体像」の考え方を世界標準で整理し、危機発生時の初期対応と復興支援のふたつのタイミングで旅行会社の役割が大きいことを指摘。また、これまでの実績を紹介し、具体的行動指針として「安心安全マネジメント」を提起した。これは、以下の2点で構成され、取組みに対しては以下のガイドラインが示されている。

  •  経営トップ(またはトップが指名する役員)が安全管理責任者として、現場まで「安心安全」の意識のもとに動く組織をつくること。
  • PDCAサイクルに沿った具体的取組事項を推進すること。

(具体的なガイドライン)

  • ツアーオペレーターとの契約に関する基本事項
  • ツアーオペレーター業務に関わる安全マネジメント調査票
  • 国内・訪日旅行における安全基準項目
  • 「旅行安全マネジメント」自主点検チェック表 など

▼危機管理にモバイル端末などのIT技術活用も提案へ

今後、JATAは情報整理や共有を強化。また消費者に対して旅行会社とサービス提供機関との責任区分の理解をすすめる啓蒙活動として「旅の安全の日」を制定なども検討する。また、環境変化に対応した将来の危機管理体制のあり方を総合的に検討する方針で、モバイル端末などのIT技術活用の危機管理への応用に向けた提案なども行う考えだ。

なお、今回の提言は2012年の高速バス事故や万里の長城での日本人遭難を受けてJATAが検討をしてきたもの。2013年4月に観光庁が「観光産業政策検討会提言」で「旅の安全の確保」として組織的安全マネジメントの取組みの必要性を提言していた。

2003年以降、旅行業界としてはJATA海外旅行委員会の下に安心安全部会を設立し、緊急時の情報共有化や外務省との官民連絡体制を構築してきた。しかし、近年、海外での日本人が巻き込まれる事件、事故、オンラインによる旅行の割合が増加する傾向にあり、業界としての安心安全レベルを担保するために、JATAとしては独自のガイドラインを定め、普及させる必要性が高まっていた。

(参考記事)



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