東京都、新客船埠頭でクルーズ利用50万人を目指す ー東京クルーズビジョン策定

大井水産物ふ頭に停泊中のボイジャー・オブ・ザ・シーズ

東京都港湾局は、このほど新客船ふ頭を臨海副都心に整備するなどの取り組みにより、2028年(平成40年)時点での東京港の年間目標をクルーズ利用人口50万人、クルーズ客船利用回数280回とする「東京クルーズビジョン」を策定した。新客船ふ頭は2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックをひとつの目安として、早期の開業を目指すという。
同ビジョンは昨年6月から、学識経験者や東京港利用者、関係行政機関による「東京港クルーズ客船誘致促進ビジョン策定委員会」を設置し、検討を重ねてきたもの。クルーズ客船が入港することにより、東京港のイメージアップや臨海副都心のMICE・国際観光拠点化の推進、そして大きな経済効果が期待できるとしている。

その上で世界のクルーズ客船市場の現状を、客船の大型化に伴う低価格商品の供給増加、中国を中心とするアジア域でのクルーズ市場の拡大などにより日本市場への期待感が高まりつつあるとし、ここ数年は海外船社による日本発着クルーズの増加により、日本のクルーズ人口も2012年では21.7万人(前年比16.2%)と増加傾向にあると指摘。アジア主要港が大型クルーズ客船に対応したバース整備を着々と進めていることから、東京港もそれに対応する必要があると説く。


現在、日本籍のクルーズ客船はいずれも晴海客船ふ頭を利用できるものの、最近日本を訪れている大型クルーズ客船の「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」(13万7276総トン、乗客定員3114名、マスト高63m)や「クイーンメリー2」(14万8528総トン、乗客定員2592名、マスト高62m)などは、レインボーブリッジ(海面からの高さ52m)を通過できず、同ふ頭を利用できない状況だ。そのため大井水産物ふ頭を利用しているものの、貨物ふ頭であるためCIQやバス乗り場などの施設がないなど、旅客対応にも限界がある。

そこで「船の科学館」の近隣にある青海コンテナふ頭北側水域に、新客船ふ頭を整備するとの方向性が示された。都心との交通アクセスもよく、専用の施設をつくることでCIQの効率的な運用や乗下船時の待ち時間にも快適に過ごせると期待される。2020年に予定されている東京オリンピック・パラリンピックまでに供用が開始されれば、クルーズ客船をチャーターしてホテルシップとして利用することも可能だ。

合わせて積極的な客船誘致活動などを展開し、「首都の玄関口」として今後見込まれる東京への需要を確実に取り込んでいくことで、2010年には22回だったクルーズ客船利用回数を、2028年(平成40年)にはクルーズ利用人口50万人、クルーズ客船利用回数280回を目標とするとしている。

写真:大井水産物ふ頭に停泊中のボイジャー・オブ・ザ・シーズ


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