日本旅行業女性の会(JWTC)は、このほど日本旅行業協会(JATA)と共催の旅行業で働く女性のための勉強会を開催した。第3回となる今回は、KNT-CTホールディングス会長の吉川勝久氏(現・JATA副会長)がスピーカーとして登壇。「旅行業における女性の進出・活躍について」と題した講演を行い、旅行業の女性がトップを目指す気持ちを持つこと、企業側も女性の管理職登用が急務であることを語った。
吉川氏は、自身が鉄道会社出身で2008年に近畿日本ツーリスト代表取締役に就任、その当時、旅行業が「女性が多いことに驚き、ただし管理職が少ない」と感じたという。また、一例として先般に行われた「JATA経営フォーラム2014」で分科会を含む登壇者が全員で30名のうち女性が2名だったことを指摘。こうした場に、女性が多く参加するようになることが旅行業界の発展のためにも求められている点を強調した。そして、女性もトップを目指すべきで、今後は世界的な流れになっていくと、将来を展望した。
こうした将来への道筋として、吉川氏は2年前の安倍政権発足時に「女性の活用、登用は経済戦略の一つ」として2020年までに企業の女性幹部の割合の引き上げなど、初めて結果目標を立てるようになったことなどを紹介。これに呼応して経団連・経済同友会も「政策目標」達成に向けて提言等アンケートなどをおこなっている。JATAも、2013年に政策検討委員会で「ダイバーシティの推進」を掲げている。
ただし、吉川氏は女性の環境によって働き方への配慮が必要であるという考えだ。これは、子供の有無により、出産・育児など男性が変わることができないポイントが絶対的ハンデと感じていることから。ただし、将来的にはパラダイムシフト(企業を取り巻く事業環境変化)が起きることで、家事や子育ての社会的な分担が起き、負担が軽減され、その仕組みをフル活用することで「女性の管理職割合は増える」と考えている。
また、日本全体で女性の活躍が進むことで「旅行業にも良い影響があるのではないか」とう考えを紹介。女性の収入が増え、仕事をすることでリフレッシュや自分に対するご褒美(旅行)などの消費が活発になることで旅行業の需要が増える。こうした、よい循環を生むためにも旅行業界は、女性の管理職登用やサポートを積極的に行い、働く女性は「トップを目指すべき」として積極的な「行動」の重要性を指摘した。
今回、JWTCが開催した勉強会は、旅行業と関連観光産業に従事する女性の意識向上、啓発を目的としたもの。男女を問わずJWTCの非会員にも広く参加を呼びかけている。
(トラベルボイス編集部:山岡薫)