千葉千枝子の観光ビジネス解説(7)
注目されるM(ミーティング)
ミーティングプランナーの重要性
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米国の国際会議の開催件数は連続首位にあるが(下欄の開催状況表参照)、同国のMICEマーケットの中でも大きなシェアを占めている。ミーティングの開催にあたり、オーガナイザーとしての業務を総合的に担う人材のことをMeeting Planner(ミーティングプランナー)と呼ぶが、近年、日本でもミーティングプランナーの重要性が叫ばれるようになり、啓発や養成の動きが活発化している。
ミーティングプランナーの仕事は多岐にわたる。一見、後方業務と捉われがちだが、実際はマネジメント全般に深く関わりをもち、重要なポジションにある。会議開催のための企画立案や組織づくりなど、初めの一からたずさわるからだ。そして、すべての中枢となる、例えば実行委員会の事務局として、参加者登録等のオペレーション業務や会場・宿泊等の手配、広報活動、さらには財務などもつかさどり、高い接遇スキルが求められる。寄付や募金もまた、ミーティングプランナーの手によって行われるのである。
▼グローバル企業に欠かせない「コーポレートミーティングプランナー」
その7割が女性
世界でいち早く企業のグローバリゼーションが進んだアメリカでは、全米における国際会議開催件数のほとんどをコーポレートミーティングが占める。コーポレートミーティングは、アメリカにおけるMICEビジネスの主要なマーケットになっているのである。グローバル企業は、それぞれ会社ごとにミーティングプランナーを抱えるのが珍しくなく、また、特定の企業のミーティングを統括してコーディネイトする独立系のプランナーも存在する。これら人材を、コーポレートミーティングプランナーと呼んでいる。
アメリカでは、コーポレートミーティングプランナーの約7割を、女性が占めるといわれている。一般論として男性は、支配欲が強く理論を好む思考にあるが、それに対して女性は、プロセスを重んじて共存することに高い価値を見出す傾向がある。世界から、あらゆる立場の人を迎えるグローバル企業において、ミーティングプランナーの職は、女性の持ち味が大いに活かされるフィールドであるといえよう。さらに彼女たちは、一企業の枠を超えてネットワークを形成して、情報共有や自己研鑽にも励む。
▼日本でもMICE人材の女性ネットワークが誕生
ミーティングに求められる女性力
近ごろ日本でも、そうしたMICE人材の女性ネットワークが生成されたばかりだ。
去る2014年2月、MPI Japan Chapterのウーマンズネットワークと(一社)日本コンベンション事業協会(CPA) 女性部会との共催で、「第1回MICE女性ネットワーキングイベント」が都内で開催され、130名を超す女性で会場が埋めつくされた。ネットワークの立ち上げにたずさわった株式会社MICEジャパン代表取締役社長で月刊「MICE Japan」編集長の森口巳都留氏は、「女性ができることを最大限発揮して、互いが高めあえる研鑽の場にしたい」と抱負を語り、MICE業界における女性リーダーの育成に期待を寄せた。今後は、(一社)日本展示会協会・女性の活躍推進委員会も主催参画して、発展的な拡大をめざすという。
コーポレートミーティングプランナーが数多く活躍するアメリカでは、ミーティングプランナーの啓発・育成といった教育事業がフランチャイズ化されており、起業家注目の新たなビジネスにもなっている。例えば、招待状を送ったあとのフォローアップコールやスピーカー(講師)のアテンドといった業務は、男性よりも女性のほうが、洗練された印象を与えるものと筆者も感じる。日本の今後のミーティングプランナーの育成、発展の鍵は、“女性力”にあるようだ。