観光庁は2013年9月に設置した旅行産業研究会で新しい旅行業制度のあり方を議論し、計8回の議論を取りまとめた。観光産業政策検討会の提言は、海外OTA(オンライン・トラベル・エージェント)の台頭やインターネット取引の増加、観光新興国の台頭による海外素材の仕入れ競争の激化、旅行業者の安全確保と責任など、近年の旅行業界の大きな環境変化を受けて実施。今回取りまとめられた方向性もこうした環境変化に関わる以下の5点が、主なポイントとなっている。
インターネット取引の増加や海外OTAの台頭への対応
旅行業に係る安全マネジメント制度の導入
着地型旅行の普及に向けた商品造成の促進・販売経路の拡大
標準旅行業約款制度の見直し
現行旅行業制度の範囲外の論点
このなかで、(1)インターネット取引の増加や海外OTAの台頭への対応に関しては、インターネット取引の増加を踏まえたガイドラインを国が策定して海外OTAや場貸しサイトへの適用を求めることが望ましいとし、取引規定については一部をインターネット取引に対応した規定に見直す必要があるとした。ただし、海外OTAとの公平な競争環境に近づけるための素材単品手配の旅行業法の取扱の見直しと消費者に対するわかりやすさについては、その可能性について検討する議論に留まった
(4)の標準旅行業約款制度の見直しでは、現行の約款と実態とが隔離していることから、消費者保護に留意しつつ、環境変化を弾力的に対応できる約款制度の構築の必要性が示された。また、法人間の旅行契約については、現行の標準旅行業約款の適制度の対象外とするか、消費者向けとは別の約款を設けることを検討する必要があるとした。
このほか、(5)の現行旅行業制度の範囲外の論点として、「Air bnb」など新しいCtoCサービスに対し、旅行業者の提供する新サービスとなるのかを検討を進める必要があると言及。現行の旅行業法では規制対象外のものでも、さらに発展することを見据えた上で旅行業法制度の検討を行なう必要があるとした。
このポイントは、2013年4月に取りまとめた「観光産業政策検討会提言」で、「旅行産業のあり方・制度について、現代的な視点から幅広く議論し、日本の旅行産業が世界をリードするための基盤を整える」必要が謳われ、これを受けて同研究会での検討を行なったもの。