外国人旅行者に人気の「澤の屋旅館」、予約のきっかけが「クチコミに変化」

トリップアドバイザーは2014年7月3日、「2014年エクセレンス認証(Certificate of Excellence)」認定された日本の施設を対象に東京・アメリカ大使館で受賞イベントを開催した。そこでは、ゲストスピーカーとして招かれた東京・台東区「澤の屋旅館」を経営する澤 功氏が登壇。外国人旅行者の受入れで成功した同旅館の歩みや外国人旅行者のもてなしについて紹介した。

2013年の澤の屋旅館の稼働率は94%。約9割の宿泊者が外国人で、3割がリピーターだという。グローバルなOTA(オンライン・トラベル・エージェント)には部屋を提供しておらず、ほとんどの予約はメールでカード決済を行っている。12室と小規模な家族経営の旅館がこうした人気を博する理由について澤氏は、「サービス」ではなく「ホスピタリティ」であると分析しているという。

流暢な言語や各種ービスを取り揃えるよりも、英単語だけの会話であっても「歓迎の心」で要望に対応することで「心が通じる」という考えだ。また、1泊朝付を基本とする澤の屋旅館が宿泊、地域が食事や体験を提供することで、地域と一体となって外国人を迎えてきた経緯を紹介。「ふれあいが生まれる旅の思い出」をつくることが重要で、それが外国人旅行者の満足度を上げ、「リピーター化にもつながる」と語った。


WS000196澤氏は、最近の外国人旅行者の予約に変化があることも紹介。従来、「澤の屋旅館」を外国人が知るきっかけはガイドブックが主だったが、2013年4月以降の調査では大幅に「口コミに変化している」という。澤氏は、クチコミについて各国の様々な嗜好で数々の改善点を書き込まれる状況を説明。そこには、日本人には想定しづらい外国人のメンタリティなどで学ぶことがあるようだ。

なお、このイベントに参加した施設が受賞したトリップアドバイザー「2014年エクセレンス認証」とは、過去1年間に一定数以上のクチコミ投稿数があり、平均4以上の評価を獲得した施設に与える認証制度。日本全国で宿泊施設963軒、観光施設596軒、レストラン349軒の計1908軒に授与されており、イベントには受賞施設から約170名が参加した。

冒頭で挨拶に立った米国大使館商務担当公使のアンドリュー・ワイレガラ氏は、日米の商取引においてモノだけでなく観光業を重視している点を紹介。2020年の東京オリンピック開催に向けて、米国企業であるトリップアドバイザーが両国間の旅行者をつなぐ役割を果たすことに期待しているコメントを述べた。イベントでは、「ホテル龍名館東京」の経営企画マーケティング部部 長・濱田 裕章氏とトリップアドバイザー日本代表の原田 劉 静織氏とのトークセッションも行われた。


(トラベルボイス編集部:山岡薫)

みんなのVOICEこの記事を読んで思った意見や感想を書いてください。

観光産業ニュース「トラベルボイス」編集部から届く

一歩先の未来がみえるメルマガ「今日のヘッドライン」 、もうご登録済みですよね?

もし未だ登録していないなら…