クルーズ客船選びは「目的」を明確に、客室次第でクラスの逆転も

セレブリティ・ソルスティスの各カテゴリーの客室。これはバトラー(執事)ほか、さまざまな特別サービスが用意されるペントハウススイート

最後にたどり着く旅、クルーズの魅力を探る(3)

ラグジュアリーがベストとは限らない

クルーズ客船の選び方



*写真はすべてセレブリティ・ソルスティスの客室。右写真はバトラー(執事)ほか、さまざまな特別サービスが用意されるペントハウススイート。

今回も引き続きクルーズ客船の選び方についてまとめたい。どのような客船を選ぶかによって、クルーズの楽しみが大きく変わると思うからだ。しかし、個人でこうした情報をアップデートするのは難しい。だからこそ、クルーズについてコンサルティング能力を持つ旅行会社が求められている。

前回コラム>>>

▼グレードによって異なる客層とエンターテイメント

どんな過ごし方をしたいかを明確に客船を選ぶ

バルコニー付き客室としては標準的だが、どのデッキのどの場所にあるかによって微妙に代金が異なる。これはサンセット海側客室

前回のコラムでは、クルーズ客船を料金別=グレード別に、1泊当たりの代金が高い順に、上からラグジュアリー・クラス、プレミアム・クラス、そしてスタンダード・クラスの3区分に分類し説明した。しかし重要なのは、自分(顧客)がどういうクルーズを楽しみたいかということであり、その目的に合った客船を選ぶことなのだ。

静かな環境を欲する人には、やはりラグジュアリー・クラスが合う。手厚いもてなしのサービスを希望する人もラグジュアリー・クラスの客船に乗るべきだ。しかし、アクティブに遊びたい人や迫力あるエンターテイメントを望む人は、ラグジュアリー・クラスよりもスタンダード・クラスに属するメガシップの最新鋭船に乗った方が満足いく船旅が楽しめるだろう。

というのも、ラグジュアリー・クラスの乗客はシニア層が中心だから静かな船内空間が維持されているわけだし、逆にスタンダード・クラスでは20代やファミリー層もたくさん乗船しているため、船内イベントがそうした客層にも照準を合わせた内容となっているからだ。

もしアクティブに楽しみたい客層がラグジュアリー・クラスに乗船すると、他の客の歩行速度からエレベーターのドアの開閉時間まで、すべてが遅く感じられてストレスが溜まるかもしれない。あるいは静かな環境を求める客層がスタンダード・クラスに乗り込めば、喧噪に精神的に疲れ、メガシップならではの大きさに肉体的にも疲れ切ってしまうかもしれない。

もちろん、こうしたことは絶対ではない。ラグジュアリー・クラスにもアクティブにマリンスポーツを楽しめる客船もあるし、スタンダード・クラスの客船も地中海クルーズに就航している時はシックな雰囲気になることもある。繰り返しになるが、だからこそ重要なのは自分(顧客)は、どういうクルーズを楽しみたのかということであり、その目的に合った客船を選ぶことなのだ。


▼客室によってはクラスが逆転することも

10~20の細分化されたカテゴリーの客室

窓のない客室だが、寝に帰るだけと割り切れば十分。その分、乗船回数を増やしてもいい。インサイド客室

ここでもうひとつ注意したいことがある。クルーズ客船はどの船も、専用バルコニーのあるスイートから窓のないインサイド客室まで、客室の種類によって10〜20ほどに細分化されたカテゴリー別の代金が設定されている。

そして、場合によっては、スタンダード・クラスの最上級の客室の代金は、その上のクラスであるプレミアム・クラスの中間グレードの客室に匹敵することもあるし、プレミアム・クラスの最上級客室の代金もラグジュアリー・クラスの中間グレードの客室に匹敵することもある。

では、同じ代金を支払うなら、どちらのクラスを選べば良いのか?

サービスの質に重きを置くなら、ひとクラス上の客船に乗船してみてはどうだろうか? 今まで自分たちが乗ってきたクラスとの違いがよく理解できるだろう。「バトラーサービスを希望したい」という理由で、ひとつ下のクラスの最上級客室を選ぶのもいい。

普段仕事に追われている現役世代なら、リクエストはすべてバトラーに依頼し、食事もルームサービスにして、ひたすら客室でノンビリと過ごすのも素敵だと思う。船上ではどう過ごしても自由。それがクルーズという旅の醍醐味でもあるのだから。

だからこそ、こうした選択方法を顧客にコンサルティングできる知識と経験の取得が、現在の旅行会社には期待されているのではないだろうか。

  • コラム執筆:竹井智

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