帝国データバンクは、2014 年 6 月末時点の企業概要データベース「COSMOS2」および公開情報から、遊園地・テーマパーク経営企業のうち 2011 年~2013 年(1 月期決算~12 月期決算)の 3 期連続で収入高が判明した 163 社を抽出して経営状況を分析した。その結果、2013 年の収入高合計は前年比 7.7%増の約 8616 億 2900 万円となり、2013 年の増収企業は 81 社で全体の49.7%を占めたことが分かった。増収企業の割合は前年比 14.1 ポイント増加。一方、減収となった企業は 51 社で、その割合は前年比 20.2 ポイント減少となり、全体的に増収傾向となった(収入高ランキングは下段に掲載)。
また、163 社のうち 2 期連続で損益が判明した 97 社について分析した結果、2013 年の黒字企業は77 社で全体の約 8 割を占めた。このうち 2 期連続黒字企業は 63 社(構成比64.9%)。一方、2013 年の赤字企業は 20 社(構成比20.6%)だった。
企業別で見ると、2013年収入高トップは東京ディズニーランドを経営するオリエンタルランドで3413億2700万円(前年比9.1%増)。2位はUSJを経営するユニバーサル・スタジオ・ジャパンで821億2700万円(同13%増)となり、上位2社で全体の約半分を占めた。ハウステンボスは、入場者数247 万7000人(同29.1%増)で、収入高は216億2900万円(同29.6%増)で第9位に入った。また、スパリゾート・ハワイアンズを経営する常磐興産の観光事業部門の収入高は、震災の影響で半年間休業していた2012年3月期との比較で335.1%増の110億1700万円となり、第12位に入った。
収入高規模別に見た増収企業の割合は、「500 億円以上」では 3 社すべてが増収、そのほか「100~500 億円未満」が 66.7%、「10~50 億円未満」が 60.0%と、収入高規模が大きくなるほど増収傾向にあることが判明した。一方、収入高規模が「1 億円未満」の収入高合計のみが前年比 5.3%減少となり、小規模企業の厳しい状況が判明。帝国データバンクでは、収入高が伸び悩むなか、新たなイベントの実施や設備投資を行う資金力がなく集客を増やすことができない悪循環に陥っていると分析している。
地域別では 10 地域中すべてで増収。伸び率トップは「東北」で、一部企業で東日本大震災による営業休止期間があった前年と比較し11.8%増加した。「九州」は、ハウステンボスの増収が全体の伸び率を牽引し前年比10.5%増。「北陸」が同10.3%増、「近畿」が同10.0%増と 2 ケタ台の伸び率となった。収入高合計では、オリエンタルランドのある「関東(東京除く)」が約 3900 億 3800万円がトップ。次いで「東京」が約 1565 億 300 万円となり、上記 2 地域の収入高合計は約 5465 億 4100万円と収入高合計の 63.4%を占めた。
帝国データバンクでは、大手企業は新アトラクションの導入や季節ごとにイベントを実施することでリピーターを獲得し、業績は好調に推移した半面、他パークとの差別化を打ち出せない中・小規模の遊園地・テーマパークでは伸び悩んだところもあり、大手と中小との格差が拡大したと分析。そのうえで、訪日外国人が増加している背景から、今後は、訪日外国人旅行者の取り込みに注力できる大手企業と設備投資さえも十分に行うことができない小規模企業との格差がより一層拡大することが予想されるとしている。
(トラベルボイス編集部)