LCCエアアジアの旅行会社による日本での航空券予約が、総合旅行予約システム(GDS)のトラベルポートで可能になる。2014年4月に両社がパートナーシップ契約を結んだことによるもの。日本国内で、エアアジアグループの航空券と付帯サービスを、トラベルポート傘下のアポロとワールドスパンで予約できるようになる。これをうけ、トラベルポートとガリレオジャパン、エアアジアの3社は共同で旅行会社向けのセミナーを実施。そこで強調されたのは、トラベルポートが目指すBtoB予約における情報の集約・一元化だ。
セミナーでは、ガリレオジャパン営業推進本部長の沢田しげみ氏がトラベルポートの航空券予約システムSmartpoint(スマートポイント)の利便性を強調。ウェブベースでも利用できるスマートポイントは、LCCだけでなくフルサービスキャリアや鉄道など交通機関の区別なく全ての移動手段を一括検索できるシステム。LCCの台頭でフルサービスキャリアがキャンペーン運賃など格安運賃を提供する中、1回の検索で鉄道を含む移動手段と運賃が一覧されることで旅行会社の業務効率化が見込める。また、運賃と別料金で提供する付帯サービスも予約が可能だ。
スマートポイントを活用した検索結果一覧では、出発地から目的地へのルートで利用ができる交通手段としてエアアジアグループの他、フルサービスキャリアや鉄道の路線が一覧される。実際のエアアジアグループの航空予約では、現時点で直接販売をしている各社ウェブサイトと同額運賃、一部を除く付帯サービスの予約が可能。エアアジア(AK)、エアアジアX(D7)、タイ・エアアジア(FD)、インドネシア・エアアジア(QZ)が利用できる。最終的には、タイ・エアアジアX(XJ)、エアアジア・ゼスト(Z2)、エアアジア・インディア(I5)も稼働させる予定。さらに、機能拡張を続けてエアアジアグループのウェブサイトにあるすべてのサービスを予約できるように開発を進める。
こうした一連のシステム利用には、合計金額に1セグメント毎にGDS予約手数料が加算される。トラベルポートとしては、比較検索の利便性を高め、時間省力化・旅行者への有効なサービスへの対価としての手数料は決して高くないとの考えだ。
なお、今後スマートポイントでBSP決済や予約変更・仮予約、企業契約運賃などコンテンツ拡張などの機能拡張を進める予定。こうした機能が追加されることで、ビジネストラベルなど有効活用できる点をアピールしている。
▼進む“メタサーチ化”、比較検索・購入の一元化の背景
付帯サービスを含む、すべてのコンテンツ販売へ
セミナーの冒頭で登壇したトラベルポート日本地区統括支配人の清水祐司氏(写真右)は、同社の状況について「GDSから旅行商取引を一新するB2B向けトラベル・コマース・プラットフォームへ変化している」ことを説明した。それは、近年の旅行素材の流通の変化に起因する。同社ヘッド・コマーシャル・リレーションシップ 髙橋章氏は、近年のアジア諸国におけるLCCの急激な台頭、そのビジネスモデルが低運賃を提示する代わりに付帯サービスで収益をあげるようになっていることを指摘。「LCCが新しい顧客を生み出しており、この流れは止まらない」として、そこにGDSや旅行会社が対応していく必要性があることを説明した。
そして、今後、旅行会社がサプライヤーの直販に競合していくには「同等のコンテンツと情報量、質が勝敗のカギ。直販サイトにあるコンテンツはすべてを網羅する必要がある。」としてトラベルポートの2つのビジョンを紹介した。
ひとつめは、予約情報の集約と一元化。あらゆる交通機関を単一の操作手順で比較・検索購入を1つの仕組みで実現するもの。ふたつめが、コンテンツの同等性。航空会社が持つすべての予約コンテンツを自由に販売できるようにする。このふたつのビジョンを形にしたものの一つが、スマートポイントといえるだろう。
(トラベルボイス編集部:山岡薫)