ANAホールディングスCEOの伊東 信一郎氏(右)は、2015年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。伊東氏は、所感を「真に支持される企業グループになるために」と題して、2015年に重点的に行うべきことを「お客様や社会から、圧倒的支持を受けるグループになっていこう」という考えを強調。グループ内企業でフルサービス、LCC、業種やビジネスモデルは異なっても基本は同様とし、グループ一丸で努力と挑戦をしていくことを呼び掛けた。 *写真は2014年8月トラベルボイス編集部が撮影。
発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。
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「真に支持される企業グループになるために」
ANAホールディングスCEO 伊東 信一郎
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年も、実に様々なことがありました。ANAでは首都圏国際線の大幅拡充や次期政府専用機の整備・訓練等の受注、ボーイング747-400型機の退役と航空機70機の発注、新制服の発表、ボーイング787-9型機の受領やPR活動、「ANAギャラクシーフライト」等の工夫した取り組みやプロダクト&サービスの強化、コードシェア拡充や貨物JVの開始、2年連続となるSKYTRAX 5STAR認定や各機関からの表彰、当社戦略の米ハーバード大ビジネススクール教材への採用等、積極的な事業展開を象徴する様々な出来事がありました。オペレーション面では、超大型台風や自然災害等の対応にも苦慮しましたが、なんとか乗り越えることができています。
またグループ全体に目を向けると、ANA Cargoの営業開始や、マイアミに本社を置くPanAm Flight Academyのタイ進出、訪日旅行会社の設立、全日空商事による観光土産品製造販売の藤二誠の株式取得、ANAエアラインスクール大阪校の開校、バニラエアの奄美就航や搭乗率改善、OCSの業績改善、ANAウィングフェローズ・ヴイ王子 大阪ドキュメントセンターに対する知事・市長表彰、そしてサービス産業生産性協議会の調査でANAセールスが業界第一位となったこと等、ホールディングス体制の中で、各社が努力し着実に成果をあげてきている、そんな状況にあります。
更にCSRの観点では、東日本大震災の被災地復興支援の継続や日米の次世代のリーダー育成を目指すTOMODACHIイニシアチブ、UNESCO公式サポーターの諸活動、“Blue Wing”プログラムの開始、女性活躍推進(空運業初の「なでしこ銘柄」指定)・文部科学省の留学支援活動への協力等、精力的に取り組んでいます。
2012年に「強く生まれ変わろう」と呼びかけ、その後事業拡大を図りながら、グループ一丸となって更なる安全・品質向上や価値創造、生産性向上、コスト削減、財務体質の改善等に取り組んでいますが、各指標の改善や単位コストの良化、お客様の評価等を見ると、漸く成果が目に見えるようになってきたと思います。この流れを更に確実なものとし、加速させていかなければなりません。他社との競争環境も益々熾烈さを極めていく中で、現状に甘んじている暇はありません。
こうした中、今年何を重点的に行うのか。一言でいうと、「引き続き強くなる努力を続けながら、お客様や社会から、圧倒的支持を受けるグループになっていこう」ということだと考えています。お客様や株主、企業や団体、取引先やパートナー、地域社会や行政、グループ従業員や入社希望の学生等、沢山のステークホルダーとの関係において、「さすがANAグループ」と言われるようになろうということです。フルサービスであれLCCであれ、また業種やビジネスモデルは異なっても、グループの各企業がその道を究める中で、成し遂げて欲しいと思います。
その為に「如何なる場合においても、お客様を心から大切にする」という基本が実践できているかを、もう一度グループの全員で点検することから、始めてほしいと思います。「私達の今日があるのは、目の前のお客様お一人お一人のおかげである」ということを肝に銘じ、感謝の気持ちを形にしていってください。その為に、マニュアル、仕組み、働き方を含めて見直し、組織的に課題を解決するまでやってこそ本物の誠意です。グループで統一感を持って、そして如何なる時にも首尾一貫性を持って、お客様のことを心底考え、行動する一年にしてほしいと思います。
お客様以外のステークホルダーに対しても基本は同じです。様々な制約の中でも、「何とかして差し上げたい、お役に立ちたい」という想いを最も大切な価値観として、行動して頂きたいと思います。
私達は、たゆまぬ努力と挑戦により、世界において存在感のあるエアライングループに成長しつつあります。しかしお客様やステークホルダーに認められ、心底そのことを喜んで頂いてこそ、本当に価値のあるものになります。この絶対的支持こそ、如何なる環境変化にも競争相手にも負けない、私達の飛躍のための真の鍵であるということを肝に、今年1年を大切にしていきましょう。どうぞよろしくお願いします。