旅行者のタビナカ(旅行中の時間)にアプローチするオンライン飲食店予約事業が加速している。この分野では、1998年に北米で誕生した「Open Table(オープンテーブル)」が6億6500万人の予約実績を発表するなど世界的に市場が拡大。日本国内でも訪日外国人旅行者向け、日本国内向けなどで各社が凌ぎを削っている。
2013年10月に「Yahoo!予約」で飲食店予約に参入したヤフーは、全国2万5000軒超の飲食店を掲載。飲食店のサービス利用料を無料化し、店舗とユーザー双方の利便性を向上させることで集客力を高めている。また、今年に入ってからは、東京都が外国人旅行者を対象に「EAT東京」を開設。予約機能はないものの、多言語メニューや外国語メニューを置く飲食店を検索できるサイトの公開は、飲食店情報の重要性が高まっていることを印象づけた。
旅行者の「タビナカ」に近づく各社の動きをまとめてみた。飲食店予約を行う国内オンライン4社の直近の動きには、旅行ビジネスで新たなチャンスへのヒントがありそうだ。
▼ぐるなび : 訪日外国人向けサイトをリニューアル
管理画面の入力簡素化で多言語化すすめる
飲食店情報検索サイト「ぐるなび」は、 2004年からスタートした「ぐるなび外国語版」を2015年1月19日に大幅リニューアル。訪日外国人向けメニューで多言語化をすすめ、掲載メニューや食材の情報を充実させる。これは、加盟する飲食店の管理画面への登録時に自動で4言語(英語・繁体字・簡体字・韓国語)に変換する機能を搭載したもの。注文時に外国人客がメニューを読み上げられるように仮名メニュー名を登録、管理画面に登録された約2300のジャンル、 約1000の食材、 約400の調味料、 40の調理法から選択することで外国語でのメニューページを作成できるものとした。
また、 同時にオンラインで飲食店の予約ができる機能の実装、 多言語対応できる専門コンシェルジュスタッフの増員した。日本を訪れる外国人の利便性を高めることで、利用促進を図りたい考えだ。
参考>>>
▼ホットペッパー : 2014年のネット予約が2200万人突破
飲食店分野での投資や開発に積極姿勢
リクルートライフスタイルが運営するグルメ・クーポン情報サイト「ホットペッパー グルメ」は、このほど2014年の年間ネット予約者数が受付ベースで2200万人を突破したことを発表。2013年度(2014年4月~2014年3月)と2014年度(2014年4月~2014年3月)の比較では、12月段階で2200万人を突破したことで、約2倍となる見込みだ。
同社は、消費者のスマホ利用が伸びることを見込んで 2008年から飲食店のネット予約機能を提供し、現在では掲載店舗数8万8000店のうち、 全国約3万3000店がネット予約(即時予約とリクエスト予約)に対応しているという。
リクルートでは欧州大手レストラン予約サイトへの出資や、飲食店メニューの翻訳アプリなどに力を入れており、益々この分野での取り組みを強化していくものとみられる。
▼一休.com : 高単価の厳選レストランで勝負
2014年度は大幅増を見込む
ディナーの平均単価約5000円以上を目安とした一定レベル以上のレストランを掲載する一休.comでは、2014年度の業績予想の中でレストラン分野の大幅な伸び見込む。本体事業の宿泊予約の売上が前期比6.2%増の47億9400万円を想定するなか、レストラン(EC事業を含む)の項目では36.8%増の12億7200万円を見込む(2014年10月発表の決算資料より)。同社は、掲載レストランの開拓などで営業費用を計上。この費用を、新サービスへの投資と位置づけており、今後の成長を目指す方針だ。
▼食べログ : 旅行者へのアプローチを強化
フォートラベルやANAと連携で
カカクコムグループのグルメサイト「食べログ」は旅行関連サイトとの連携を強化。2014年10月には、同グループ内のフォートラベルのサイト上で「食べログ」が提供するレストラン情報から空席確認や予約を行う連携を開始した。また、2014年11月には全日空(ANA)と提携し、「食べログ」でのレストラン予約やANAカード決済でマイレージがたまるサービスをスタート。旅行者へのアプローチを加速している。
(トラベルボイス編集部:山岡薫)