プリンセス・クルーズは2015年、創立50周年を迎える。これを記念し、アジア地区オペレーション担当シニア・ヴァイス・プレジデントのアンソニー・カウフマン氏(写真右)が来日、2015年の日本市場における戦略と50周年記念の概要を語った。
カウフマン氏は2014年の日本発着クルーズについて、サン・プリンセスとダイヤモンド・プリンセスの2隻体制での運航により、「日本市場が急成長した年」と評価。日本人のみならず、外国人旅行者の集客も増え、「コースやサービス、食事など高い評価を頂いた。特に、日本式風呂や寿司レストランなど日本市場を意識したサービスに対する満足度が高い」と、成功要因をあげる。
日本発着3年目となる2015年は4月29日からの4か月間、ダイヤモンド・プリンセスで17本のクルーズを運航。1隻体制となるが日本向け施策を強化し、日本人客のさらなる増加に注力する。長期休暇の取りにくい日本市場にあわせ、新たに5・6日間のショートクルーズを設定して新客層の獲得を狙うほか、既存客の好む長期クルーズでは新寄港地を加えてバリエーションを拡充するなど、市場ニーズのバランスを見ながら展開する。
さらに、「旅行会社のサポートなしでクルーズは成功しない」と、旅行会社の重要性も強調。各種プロモーションの策定にあたっては顧客を知る旅行会社の意見を重視しており、例えば実施中の早期予約者向け紹介キャンペーンも、旅行会社と相談の上、決定したもの。紹介者と新規予約者の双方に2015年の日本発着クルーズで使えるオンボードクレジットを提供するもので、予約の積み増しを目指す。双方の関係を密にしていくことで、お互いのビジネスの底上げに繋がっていくとアピールする。
50周年のアニバーサリーイヤーについては、今日のクルーズのスタイルは1970年代に確立されたものとし、「弊社はクルーズの近代化を業界とともに歩んできた」とその意義を説明。2015年は歴史を反映し、過去の人気メニューを楽しめる「50周年記念メニュー」(8泊以上のクルーズ)を提供するほか、世界的ショコラティエによるデザートなどチョコレートを楽しむ体験「チョコレート・ジャーニー」や記念イベントなど、様々な特別企画が用意されていることを紹介し、クルーズを楽しむ好機としてアピールする。
カウフマン氏は「日本でクルーズは新しい業界であり、今後も投資を継続する」と日本市場を重視する姿勢を改めて強調。消費者に向けては、クルーズが手頃な価格で価値のある満足度の高い旅行ができること、家族や友人同士で気軽に楽しめる旅行であることを伝え、市場拡大を図っていく考えだ。同時に、旅行会社にも顧客に素晴らしい体験を提供できる旅行とし、クルーズが旅行者と旅行会社のWin×Winな関係構築に繋がることも強調した。
▼クルーズにもデジタル化のインパクト、船上生活にも変化
カウフマン氏に、デジタル化やインターネットの発達がクルーズ業界およびプリンセス・クルーズに与えた影響の有無をたずねたところ、「さまざまなビジネスに影響があり、当然クルーズ業界にも弊社にもある」という。すでにホームページやSNSでの情報発信や、予約時の業務効率化などで取り組みを行なっている。さらに、クルーズライフにも変化が生じている。プリンセス・クルーズでは船内のイントラネットを活用し、船内イベントやアクティビティなどの情報を発信するアプリを提供。2015年の日本発着クルーズでは、日本語での提供も予定している。加えて、航海中に乗客同士がコミュニケーションできるチャット機能付きのアプリも開発し、順次導入しているところ。カウフマン氏は「技術の進化はクルーズ体験を快適にし、楽しいものにしている。もはや昔の姿には戻れない」との認識を示した。
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(トラベルボイス編集部)