外務省は2015年2月6日、海外に滞在・渡航する日本人の安全対策強化で直ちに取り掛かるべき施策5項目を発表した。同日に開催した「在外邦人の安全対策強化に係る検討チーム」第2回会合でとりまとめたもの。
5項目のうち、3項目は「海外にいる日本人一人一人に安全のための情報を届ける」ためのもので、その手段として携帯電話やスマートフォンの活用が強化されている。例えば在留邦人を対象に、(1)SMS(ショートメールサービス)による緊急一斉通報システムの運用を開始。
まずは韓国、タイ、マレーシア、豪州、米国など在留邦人の3分の2が居住するアジア北米10か国1地域で、3月中旬までに導入する。3か月以上の在留者に義務付けられている「在留届」には、携帯電話がある場合は番号を記載することになっているという。SMSの登録をすれば通信が可能で、「返信」で安否確認作業の効率化も期待できるとする。
また、(2)3か月未満の短期渡航者向けの登録システム「たびレジ」の利便性向上と広報を強化。スマートフォンアプリの開発や、旅券事務所や旅行会社、大学などとも連携した広報活動を行なっていく。
2014年12月のシドニー、および2015年1月のパリのテロ事件の際にも注意喚起のメールを発信するなど渡航者の安全のための情報発信に努めているが、現在のところ利用者数は9万人に留まっているという。(3)海外安全ホームページはスマートフォン対応も開始。渡航先での閲覧の利便性向上を目的にしたもので、アプリも3月末までに作成する予定だ。
残り2項目は、在留者に対する安全対策で、(4)日本人学校の警備強化、および(5)在留邦人向け安全対策セミナーを実施する。日本人学校の警備強化では全88校において現地の治安情勢等にあわせ、警備員の最大限の増員など警備に関する支援を拡充。安全対策セミナーについては先進国でもテロの発生に対する不安がある中、大都市でのテロ対策を念頭に、パリ、ベルギー、ロンドン、メルボルン、その他豪州都市の計5都市で、具体的安全対策についてのセミナーを実施する。
今回の5項目は直近で実施すべき施策として決定したもの。今後も検討チームで中長期的な観点を含め、次に施策に進めていく施策について議論していくとしている。
(トラベルボイス編集部)