みずほ総合研究所はこのほど、調査報告書「インバウンド観光と宿泊施設不足」をとりまとめた。東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向け、国内宿泊施設の需給見通しを都道府県別に試算したもの。
それによると、2020年に客室数の供給不足幅が最も多くなると推定される都道府県別は、東京都。次いで大阪府、京都府、千葉県、福岡県、大分県、兵庫県、神奈川県、奈良県、広島県の順となった。
2020年に客室数の供給不足が見込まれる10都道府県は以下のとおり。※「延べ宿泊数増加(2014年比)」は、不足客室数算出のもととなった数字。
この結果をみると、10都道府県で2020年までに必要となる宿泊施設新設のための投資額は合計で5555億円となる見通しだ。内訳は、大阪府で1577億円、東京都で1372億円、京都府で1345億円となっており、いずれもシティホテルのほか、ビジネスホテルに対する新規投資が見込まれる状況。
同研究所はこの投資額について、日本国内の年間設備投資額(約70兆円)に比較すると経済成長を押し上げるほどの効果には至らないと推測されると分析。ただし、2000年以降の最高値が1.2兆円だった宿泊業界の年間投資額に特化してみると、業界内に少なからずインパクトを与える可能性があるとしている。
この調査は、同研究所が観光庁ほか複数の関連データをもとに試算したもの。供給不足となる客室数については、2014年現在の宿泊施設をタイプ別・都道府県別稼働率の最大値(85.8%)上限とし、それ以上に稼働率の引き上げが必要となる場合に「新たな宿泊施設の建設が求められる」と想定した。
同研究所による試算フローは以下のとおり。