大阪府は国家戦略特別区域における「外国人滞在施設経営事業」について、条例案の提案を行なう。2014年の大阪府議会などで実施に必要な条例案が否決されたが、その際の指摘事項に対する制度的な改善について、国と協議を続けてきた。その結果、新たな措置が講じられることになり、改めて必要な条例案を提案することとした。2015年8月4日の戦略本部会議で、その内容を取りまとめている。
大阪府が公開した議事によると、前回否決された条例案に対しては、(1)治安面の不安、(2)近隣住民への影響、(3)立入権限がない、などの指摘がなされた。
これに対し、厚生労働省規則の改定や内閣府・厚生労働省通知などにより、新たに「滞在者名簿義務化」や「旅券確認、写し保存」、「本人確認」、「周辺住民の居住環境に配慮した紛争防止措置」、「遵守されない場合の認定取り消し」がされることに。さらに、法で認められていない立入調査については、取消事由の該当性を判断することを目的に府条例で制定することとした。
このほか、今回の条例では「外国人滞在施設の最低滞在日数:7日間」と、知事認定の「手数料」について制定する。実施に当たっては旅館業法の取扱や厚生労働省の通知を踏まえ、審査基準、認定取り消しの際の処分基準、ガイドラインを作成する。
なお、条例に立入調査規定を盛り込むにあたり、「立入調査」に関するパブリックコメントを実施する。実施期間は2015年8月10日~9月8日まで。
今回の条例案は、 2014年4月に施行された「国家戦略特別区域法」に基づくもの。旅館業法の適用除外が認められた特別区域での外国人滞在施設経営事業が可能とするものだが、自治体による条例制定の壁が厚く、進んでいない状況だった。
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