GDSセーバー、旅行会社とのパートナー契約を加速、第1弾は日旅アメックス社、数十%コスト削減と効率化へ

ビジネストラベルを主に扱う日本旅行・アメリカン エキスプレス社(AENTA)は、海外渡航予約で利用するGDSで全面的にセーバー社(Sabre)に移行することを決めた。2015年7月1日から移行をスタートしており、年内には完全移行を完了させる見通し。セーバー社は、こうした単独契約はグローバルではすでに展開されているものの、日本では初めて。今後もこうした契約を増やしていくことで、アジア太平洋地域、特に日本でのプレゼンスを高める方針だ。

*写真は左からセーバー社日本支社長の中里秀夫氏、AENTA代表取締役の竹村章美氏、グローバルセールス&アカウントマネジメント副社長のRajiv Rajian氏

このほど、契約をした両社がそろって会見を実施。AENTA代表取締役の竹村章美氏は、今回の契約が「(セーバー社の)テクノロジーがビジネスを成長させる。そのリターンが一番大きい」ことから判断に至った経緯を説明した。また、竹村氏は直接的なメリットとして、オペレーションの効率化、コスト削減が数十%で実現することを見込んでおり、削減分を価格訴求力や商品の付加価値として顧客に提供する考えだ。

また、両社がグローバルに展開する企業であることから、日本で予約をした旅行者を海外でもフォローできることも大きな決め手だったという。

セーバー社は、フライトや宿泊先、レンタカーなどを一元管理する旅程マネジメントアプリ「TripCase(トリップケース)」の日本語版でスタートさせたところ。17万5000ホテル、400エアラインの予約が可能で、竹村氏は豊富なコンテンツが法人顧客の「出張ニーズにこたえられる」と語った。

セーバー社のグローバルセールス&アカウントマネジメント副社長のRajiv Rajian氏は、今回の契約が今後の同社の展開で「マイルストーンになる」と自信。日本が重要なアジア太平洋地域の中でもキーとなるほどの重要な市場であることを強調し、今後もこうした戦略的なパートナーシップを拡大させたい考え。


アバカス買収でインフィニとの関係性は?

セーバーは、2015年5月にアジア太平洋地域を拠点とするGDS大手アバカスインターナショナル社(abacus)を買収した。アバカス社は、これまでにアジア太平洋地域59市場の10万社におよぶ旅行会社と取引きや、航空会社、宿泊施設などと密接な関係を構築してきたGDS。この買収で、セーバーはアバカスを運営する航空会社11社との長期的な販売契約も締結することになっている。

今回の買収に関して、Rajian氏は「アジア太平洋地域で、すでにプレゼンス高かったアバカス社を活用できるのは素晴らしいこと。使いやすいテクノロジーを提供することで、アジア太平洋地域でプレゼンスをさらに高めていきたい」と意気込む。

日本国内では、アバカス社と全日空(ANA)グループがGDS大手インフィニトラベルインフォメーション(infini)を運営してきた。Rajian氏は、そのインフィニ社との関係性についても言及。「セーバーのテクノロジーを活用する重要で戦略的なパートナー。さらに、(インフィニ社の)ビジネスを拡大していくことを重要な目標のひとつとしている」と語り、パートナー関係で、成長をサポートする方針を明らかにした。

なお、Rajian氏によると、“アバカス”のブランドは当面も維持していくことになるという。

トラベルボイス編集部:山岡薫

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