リクルートライフスタイルは、中国で4億人以上の会員を持つ決済アプリ「Alipay(アリペイ)」を活用した「モバイル決済 for Airレジ」を2015年12月1日から開始する。このサービスは、支払客が決済サービスのQRコードを読み込むだけで決済が完了するもの。拡大する訪日中国人旅行者に対応するもので、今年9月に発表していたスキームが実現する形だ。
この発表は、このほど開催された「Airレジ カンファレンス2015」で発表された。ここでは、リクルートライフスタイル 執行役員ネットビジネス本部 クライアントソリューションユニット長 大宮 英紀氏が登壇し、同社がインバウンド事業に注力する点をアピール。大宮氏は年々増加する訪日外国人に、タビナカで飲食店や小売店、観光関連企業で支払いをスムーズにすることで売り上げ向上を図ってほしいと呼び掛けた。
今回のアリペイとの連携事業は、訪日外国人旅行者の中でも大きなシェアを占める中国人市場を最優先して対応を進めるもの。同社によると4億人以上のユーザーを持つアリペイによるQRコード読み込みによる決済は、中国人が日常的に活用している。この機能を店舗が活用することで決済はスムーズになる。
店舗側はiOSに対応したスマートデバイスとインターネット環境があれば、初期費用なしで導入できる。ディスプレイの表示は多言語対応(日本語、英語、中国語・簡体字)で、画面を見ながら外国語の分からないスタッフでも対応が可能になる。
また、大宮氏は、タビナカでのサービス向上においては「調べる」「会話する」「支払う」という3つのポイントが重要であることを指摘。今後、決済の他にもアリペイとの提携で、飲食、美容、旅行情報を中国語翻訳してアリペイのアプリ上で提供していく予定であることも明かした。さらに、「訪日外国人との言葉の壁をなくす活動を推進しており、これを旅行者とのコミュニケーションに活用できるサービスに仕立てていく」という。
大宮氏は、「インバウンドは取り組んでいくべき重要なテーマ」とし、将来的には同社が展開する「じゃらん」や「エイビーロード」でも同様の決済を導入できるようにしていくという。2016年春には、同サービスにおいて「LINE Pay」にも対応する予定で、支払いにおけるユーザーの選択肢を広げていく。
進む、リクルートのタビナカ事業者の業務支援構想
今回の決済サービスの基盤となるのが、同社が2年前からサービスを導入した無料POSレジアプリ「Airレジ」だ。スマートフォンやタブレットで店舗や注文・販売のレジ登録ができるアプリで、サービス開始から2年で21万アカウントに成長している。
その後、2014年には順番待ちアプリ「Airウェイト」、予約管理「AirRESERVE」など、飲食・美容・観光分野の現場で顧客対応に活用できるサービスを次々に発表してきた。今年7月に開催された「じゃらんフォーラム2015」では、同社代表の浅野健氏がタビナカ事業者の業務支援構想を発表している。
特に、Airウェイトは、観光分野での親和性が高く、世界遺産となった富岡製糸場やハウステンボス、道後温泉などで導入事例が多い。Airウェイトは、混雑による入場までの入場管理するもので、最近では受付管理ができるサービスに進化。待ち時間に周辺施設の割引クーポンなどを利用してもらうなどで、地域経済に貢献するシーンもあるという。旅行会社では日本旅行が試験導入を予定している。
トラベルボイス編集部 山岡薫