九州観光の「危機的な状況」から復興へ、観光機構や商工会議所が政府に要望書

九州7県(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島)と九州観光推進機構、九州経済連合会など経済4団体は2016年5月11日、「九州観光復興についての緊急要望書」を政府に提出した。「九州はひとつ」をコンセプトに一丸となり、平成28年熊本地震により甚大な影響を受けた観光産業復興に向け、政府による早急かつ全面的な支援を要望するもの。

これを受け、政府は今後、ふるさと旅行券のような旅行券の発行など、政府としても後押しをしていく旨のコメントを発表している。

九州では5月8日時点ですでに70万件を超える宿泊キャンセルが発生、今後さらにキャンセルが増加する懸念などを含めた「危機的な状況」であることを表明。要望は(1)公共交通ネットワークの早期復旧、(2)観光地の復興、(3)宿泊等観光産業の経営支援、(4)風評被害の解消に向けた正確な情報伝達、(5)観光誘致強化のための財政支援、(6)緊急時の避難体制整備など安全・安心な観光地づくりの6項目で構成した。

たとえば(2)観光地の復興では、地震で損壊した熊本城や阿蘇神社といった観光面で重要な文化財の早期復旧に向けて全面的な支援を要望。また、(3)宿泊等観光産業の経営支援では、観光産業の早期復旧と事業継続に向け、整備復旧資金や運転資金、雇用調整や従業員の休業などを広範囲に対象に、支援措置の強化を求めている。

今回の要望書は各県の県知事ほか、九州観光推進機構、九州経済連合会、九州商工会議所連合会、九州経済同友会、九州経営者協会の代表者による連盟で提出した。


日本商工会議所、風評被害防止に向けて国内外に情報発信を

また、5月12日には日本商工会議所も政府関係各所に提出する「平成 28 年熊本地震からの復旧・復興に関する要望」を取りまとめた。要望書では、観光産業にとどまらず、特別法の制定等による復旧・復興対策の十分な予算確保や生活・産業インフラの復旧・復興、事業者に向けた金融支援、今後の震災対策促進などを「平成28年熊本地震からの復旧・復興に関する要望」としてとりまとめ。政府や関係各所に向け実現を強く訴えている。

日本商工会議所がまとめた要望項目は以下のとおり。

1.特別法の制定等による復旧・復興対策の十分な予算確保を


○特別法の制定等による十分な予算確保と柔軟な運用
○自治体に対する特別交付税措置
2.生活・産業インフラの早期復旧・復興を
○水道等のライフラインの完全復旧、避難者の住宅確保の早期実現
○土砂崩れ等により損壊した幹線道路や橋梁、JR豊肥本線等の早期復旧
○農業の物流基盤となる集荷・選果場等の機能回復
○災害廃棄物等の早急な撤去・処理
3.事業再開や販路回復等に向けた強力な支援を
○被災事業者の施設・設備等の建替え・補修や、販路回復のための商談会等出展に対する支援
○二重ローン対策や無利子・低利融資制度等による金融支援
○雇用調整助成金の拡充
○各種補助金・助成金の申請期限の延長、申請書類等の簡素化
○税制上の負担軽減措置
○商工会議所会館の復旧・補修や、経営指導員等の応援派遣への支援

4.観光振興など交流人口拡大に向けた支援を


○風評被害防止のための国内外への的確かつ継続的な情報発信
○九州地方の観光プロモーションへの支援
○熊本城や阿蘇神社をはじめとする観光資源の早期復旧
○全国各地で実施される応援物産展、商談会等への支援

5.今後の震災対策の促進を


○地震発生が予測されている地域などにおける大地震への対応の早期かつ着実な推進

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