宿泊予約の世界大手ブッキング・ドットコムは、国内の民泊施設を日本語サイトで掲載を開始した。民泊需要などを把握するための実証実験の第一段階。2016年6月8日から、同社サイトの「別荘」カテゴリーで、東京都大田区の一戸建て物件を登録、宿泊予約を開始した。第一号物件は、一戸建ての「羽田民芸ホテル」で、ベッドルームは3室。6泊以上の予約を対象とするなど、特区として大田区が定める法令順守を徹底しつつ、訪日外国人客のニーズを探る。
ブッキング・ドットコムのパパイン・ライヴァース・マーケティング統括責任者は、トラベルボイスのインタビューで「当社は、プロフェッショナルが運営する宿泊施設のみ取り扱っている。民泊についても、快適な宿泊サービスを提供できる物件であることが大前提」と説明。日本では、ゴミや騒音などの問題が懸念される民泊だが、「プロフェッショナルによって、法を順守しつつ、宿泊施設としてきちんと運営されているなどの要件を満たしている場所を選定する。その上で、日本での法整備の状況や、ユーザー側にはどのような要望があるのかを注視しながら、今後について検討する」と話した。
訪日旅行者のニーズがあると判断した場合、民泊施設として登録済みで、法的に問題ない物件であれば、徐々に取扱軒数を増やしたい考え。ただし、民泊の市場規模が既存のホテルを凌駕する可能性は否定。またブッキング・ドットコムにとっての主力商品になるとの見方も否定した。
民泊の取扱を開始する狙いは、「あくまで選択肢の拡充」(ライヴァース氏)。ブッキング・ドットコム利用客に多い欧州からの旅行者の場合、カプセルホテルや、日本家屋のゲストハウス、ホステルなどに滞在することを、日本ならではの面白い体験と感じる層も多く、こうした需要に訴求できればと考えている。
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取材・記事: 谷山明子