経済産業省はこのほど、2015年のEC(電子商取引)市場調査の結果をとりまとめた。それによると、国内の消費者向けEC市場規模は前年比7.6%増の13兆7746億円。分野別では、物販系が前年比6.4%増で7兆2398億円、サービス分野が9.4%増の4兆9014億円、デジタル分野が8.1%増の1兆6334億円。サービス分野では旅行関連が9.7%増で2兆8850億円を占める結果となった。
EC市場全体の市場規模の推移は以下のとおり。グラフ内の「EC化率」は、BtoB取引を含むすべての商取引に対するEC取引の割合を示す。
なお、企業間取引(BtoB)では、インターネット技術を使ったEC市場(狭義のEC)規模は、3.5%増の203兆円。銀行間取引など従来型の技術も含めたEC市場(広義のEC)規模は3.0%増の288兆円。それぞれのEC化率は、19.2%(狭義EC)、27.3%(広義EC)だった。
旅行関連のEC取引は2.9兆円、飲食・チケット販売が急増
サービス分野の内訳をみると、旅行関連が9.7%増の2兆8850円で最多。次いで、金融関連が前年比2.0%減の6192億円、飲食サービス関連が34.9%増の2379億円、チケット販売関連が13.6%増の3750億円と続いた。市場規模では旅行サービス関連が圧倒的なシェアを占める一方、伸び率では飲食やチケット販売が急増する様子が判明した。 サービス分野の内訳は以下のとおり。
また、分野別の構成比で過半数を占める物販分野では、スマートフォン経由の取引が全体の約3割(27.4%)を占める1兆9862円に至る結果になったという。
中国から日本への越境EC取引は約8000億円
日本と中国、米国を対象とする越境EC市場の規模では、中国と米国が日本の業者から購入した額は前年比22.0%増の1兆3337億円。そのうち中国が日本から購入した額は7956億円(31.2%増)、米国による購入は5381億円(10.5%増)だった。
一方、日本の消費者が中国・米国業者から購入した金額は合計2229億円(前年比6.9%増)。米国からの購入が約2000億を占め、中国からの購入は210億円にどどまった。
この調査は、「平成27年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」としてとりまとめられたもの。調査は1998年に開始され、今年で18回目。各種メディアや政府の統計報告書、調査レポートなどの公知情報と事業者へのヒアリングを経て分析された。報告書は以下から入手できる。