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イベント時の交通規制や渋滞を回避、迂回ルートを的確に知らせるソリューション活用法、マラソン大会の事例を聞いてきた(PR)

約4万人のランナーが参加する「東京マラソン」を筆頭に、市民参加型のスポーツイベントが全国各地で人気を博している。一方で、その多くは公道が舞台のため、交通規制によって周辺道路には渋滞が発生しやすい。周辺道路への影響を抑え、通行車や歩行者の不便を緩和することは、イベントを主催する事業者や自治体の大きな課題になっている。

その対策として、主催者を支援するのがナビタイムジャパンの交通対策ソリューション「迂回ルート検索パッケージ」だ。交通規制を周知し、通行する車両、主催の運営の双方の対応を円滑にするもので、交通規制による移動制限の軽減や観光による局所的な渋滞の解消への活用も期待されている。同社トラベル事業部セールス・アライアンスのマネージャーである内藤明生氏に、仕組みと効果を聞いてきた。

イベントの活況は高評価も、交通規制には大きな不満

イベント、スポーツ大会、道路工事など、交通規制が発生する様々な機会で利用されている「迂回ルート検索パッケージ」。実は、もともとナビタイムジャパンは、マラソン大会向けに開発した。

大会開催のためには一時的な通行止めは必要になるが、それによって日常的な移動が制限され、トラブルが生じる。また、単純な迂回ルートを示すだけでは特定経路に交通が集中し、さらなる道路渋滞が発生する。

内藤氏は「2016年ごろから、マラソン大会の事務局や自治体などから当社の技術や経験を用いて交通規制による周辺道路の渋滞を回避する仕組みを構築できないかとの相談が、寄せられるようになった。特に、マラソン大会の交通規制は対象範囲が広く複雑で、主催者側の事前の周知や迂回ルート案内などのサポート業務は、大きな負担になっていた」と振り返る。

一時的な交通規制の周知は難しい。主催者側が事前に広報活動をしても十分とはいえず、通行者全員が交通規制を把握して最適な迂回ができるわけではない。その結果、交通規制中は運営事務局をはじめ、周辺地域の施設や店舗、路線バスなどの交通事業者などに問いあわせが多数発生。案内に手間取り、満足な対応ができないことに加え、関係者の負担増といった課題を抱えていた。

何より、あるマラソン大会の事後アンケートでは、大会の盛り上がりを評価する声が数多く挙がった一方で、「改善が必要」という回答も寄せられた。そのほとんどが「交通規制により日常生活に支障がでることをもっと周知してほしい」「混みそうなところに誘導員をつけてほしい」など、交通規制とその対応を指摘しており、大きな問題となっていることが浮き彫りになった。

地域のために開催しているイベントが、市民の生活に悪影響を与えてしまうのは本末転倒だ。主催者や自治体も、課題を解決するためには従来の人の力だけでなく、デジタル活用の必要性を強く感じていたという。

トラベル事業部セールス・アライアンス マネージャー 内藤明生氏

そこで、長年培ってきた高いナビゲーション技術を持ち、企業や自治体向けに各種交通課題に対するソリューションを提供しているナビタイムジャパンに声がかかった。

「迂回ルート検索パッケージ」では、イベントの公式サイトに道路規制マップや検索ウィジェットを設置し、ナビタイムジャパンの経路検索サービスで、時間ごと・区間ごとの規制を踏まえた迂回ルートの検索ができるようにした。単に1つの迂回ルートを示すのではなく、交通規制によって強いられる移動制限を、一人一人の通行者の状況にあわせてできる限り軽減するような仕組みだ。

ウェブサービスのため、アプリダウンロードやアカウント登録が不要で、誰でもすぐに利用が可能。通行者だけではなく、主催者側も利用することで問い合わせに対するスムーズな案内が可能になり、対応する人手も削減できる。

「迂回ルート検索パッケージ」は交通規制の周知に加え、最適な迂回ルートの案内をサポート

事例:2つのマラソン大会の課題と対応

では、実際に使用された事例を紹介しよう。

1. 東京都心「MINATOシティハーフマラソン」

東京都心の港区を舞台にした「MINATOシティハーフマラソン」では、2018年の初開催時から「迂回ルート検索パッケージ」を導入。都心の場合、週末は平日よりも人や車の通行が少なくなるのが一般的だが、同地域は商業施設や東京タワーなどの観光スポット、寺社仏閣が集中しており、大会当日も人出が多いことが予想された。当初から、交通規制による影響への対応が課題となっていた。

マラソン大会の場合、時間ごとに交通規制の区間が変わるが、「迂回ルート検索パッケージ」では出発地や到着地に加え、出発時間・到着時間の入力も設定し、時間ごとに適した迂回ルートを表示する。本大会でも交通規制の影響を最小化するため、規制の区間や時間が細かく分けられたが、「迂回ルート検索パッケージ」は、最新の交通状況に沿った最適な迂回ルートを示すことができた。

内藤氏は「交通規制の情報を発信するカーナビや検索サービスは、ほかにもある。しかし、時間ごとの検索や特定の規制エリアを回避するルート、さらにユーザーごとに異なる出発地と目的地を移動する時間帯に応じて考慮したルートを検索・提示できる技術は、当社ならではのもの」とアピールする。

大会公式サイト上で交通規制の範囲を示すとともに、迂回ルート検索ウィジェットを設置同大会では、公式サイト上での迂回ルート検索数が、大会当日に限ると、スマートフォンでの利用がパソコンの2倍以上となったため、移動中に検索していることもうかがえた。公式サイト上で確認してもらうことで、電話対応自体も簡略化できた。電話の問い合わせの数が想定よりも少なくなった上、案内時も迂回ルート検索システムで調べながら回答できたためだ。

2. 古い町並みのある地方都市でのマラソン大会

古都として多くの観光客が訪れる地方都市で開催された市民マラソン大会でも、2024年から「迂回ルート検索パッケージ」を導入。同地域は古い町並みが残され、細い道路が多いことから、当日に急遽、交通規制を知った通行車が迂回に苦労する課題があった。

そこで同大会では、事前の周知を強化。大会公式サイトやチラシにQRコードを付けて、スマートフォンから迂回ルートを検索しやすくした。

こうした取り組みを通し、大規模の大会では迂回ルートの検索数が5万回以上となったケースもある。また、開催当日に、名刺サイズのカードにQRを記し、運営スタッフが会場周辺で配布して案内をする大会もあった。

これにより「事前の認知やイベントに対する理解が促進された上、当日の案内にかかる負担削減、ドライバーへの啓蒙につながったとの声も多く、手ごたえを感じている」と内藤氏。全国でトライアスロン、自転車レースといったロードレースイベントも増加しているため、今後の展開が期待される。

名刺サイズのカードにQRを記し、運営スタッフが会場周辺で配布して案内をすることもできる

観光渋滞の分散化、迂回中も観光を楽しめるように

「迂回ルート検索パッケージ」をはじめとするナビタイムジャパンの交通対策ソリューションは、交通規制に伴う迂回ルート案内だけではなく、局所的な観光渋滞の分散化などオーバーツーリズム対策としても期待されている。

ある地方都市では、フルーツ狩りのシーズンに特定の国道で大渋滞が発生する。そこで、ナビタイムジャパンと連携し、「NAVITIME」での経路検索のルート上に「渋滞注意」として複数の迂回ルートの案内を表示するようにした。

ルート上での吹き出し表示に加え、プッシュ通知でも注意喚起を配信。あわせて、これらの通知の実施効果を測定し、旅行計画時やタビナカのドライブ中など、タイミングにあった効果的な情報発信を分析して、今後の施策立案に役立てる方針だ。

特筆すべきは、迂回ルートの案内だけでなく、周辺施設の割引クーポンも配信したこと。内藤氏は「渋滞を解消するため、時間の分散化・平準化を図るのが目的。あわせて、地域の魅力的な情報のPRを支援できるため、迂回ルート周辺の周遊促進にもつながる」と話す。観光渋滞を逆手にとって、地域活性化を促進する手法ともいえる。

今後は、地図上に表示する規制情報のアイコン化や、次回の改善を目的にした検索ログデータの提供などを予定。納入期間も、現在の最短約1カ月からの短縮をめざす。観光渋滞では、近郊の駐車場から公共機関やシャトルバスなどで目的地に向かう「パーク&ライド」施策でも、同様の仕組みが活用できると考えている。

さらに、外国人観光客向けナビゲーション「Japan Travel by NAVITIME」では、オーバーツーリズム緩和に向けた対策も視野に入れている。地域活性に伴う交通課題や渋滞の解消に向けたアイデアは尽きない。

「迂回ルート検索は、最適な移動手段を提示することで通行者と地域、関係企業に対し、時間的、経済的な損失の解消を図ることができる。繰り返しになるが、渋滞解消とともに、迂回した周辺地域の観光経済の活性化につながる可能性も秘めている。それぞれの声に耳を傾け、課題に寄り添いながら機能改善を続けていく」と内藤氏は話している。

ナビタイムジャパンが取り組んでいる交通課題の一例

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記事:トラベルボイス企画部