
エイチ・アイ・エス(HIS)は2025年3月31日、2024年10月期の連結決算(2024年11月1日~2025年3月31日)を発表した。純利益は87億1700万円(前期は26億2800万円の赤字)で、5期ぶりの黒字に転換。売上高は前期比36.1%増の3433億3400万円。営業利益は108億5400万円(前期は16億3500万円の黒字)、経常利益は104億5100万円(前期は16億4600万円の黒字)と大幅に増加した。
決算会見で代表取締役社長の矢田素史氏は、「ほぼ計画どおり。コロナ禍後、初めて営業、経常、最終益のすべてが黒字となった。レジャー市場が本格的に回復し、活況なビジネス環境だったことから、全セグメントで前期比2桁以上伸長した」と要因を述べた。
一方で、新型コロナウイルス関連の雇用調整助成金(雇調金)の不正受給については、「多大なるご心配、ご迷惑をおかけしていることをおわびする」と謝罪。グループ全体の業績への影響が約84億円に上ることを明らかにした。
旅行業の売上高は前期比4割増
主力の旅行事業は、売上高の8割以上を占める2839億7200万円で、前期比40.3%増と大幅に伸長。営業利益も81億円増加の93億円と増収増益となった。中核の海外旅行事業についてHISは、日本におけるHIS JAPANの事業と海外法人の事業で展開しており、HIS JAPANは収益性の高い欧州方面の添乗員付きツアーを先行的に展開したことが奏功。シニア層の海外旅行が伸びた。海外法人のインバウンド事業は、夏の繁忙期の日本からの受客が活発化し、ハワイでの大型団体、個人旅行も回復傾向、欧州は年間を通じて好調で、イタリアとスペインが牽引した。
ホテル事業の売上高は同28.2%増の229億8900万円。日本国内で24軒、海外で19軒の計43軒を展開しており、日本国内では訪日客を中心に観光地の客室単価が上昇したほか、イールドコントロールが奏功した。海外ホテルは人流の回復により順調に推移し、すべてのホテルで増益。ホテル事業の営業利益は30億4700万円で、海外ホテルが約13億円、国内ホテルが約12億円増加した。
一方で、販管費は旅行需要の回復に伴い広告費や支払手数料が増えた。HIS単体では、2024年5月より正社員・契約社員を対象に、基本給の定期昇給とベースアップ併せて4.3%の給与改定を実施、連結従業員数は同105%の1万2372名と人件費も増加しているが、粗利をしっかり確保できたことで営業利益全体の増益につながったとした。
2025年の出国者人数1500万人を予想
2025年度10月期通期の業績予想については、売上高が前期比13.6%増の3900億円、営業利益が同10.6%増の120億円、経常利益が同5.3%増の110億円、当期純利益同11.7%減の77億円を見込む。
このうち、旅行事業で想定するのは、売上高が同14%増の3260億円で、営業利益は同7%増の100億円。「日本における旅行事業は単価増もあり回復をみせているが、人数ペースではまだ伸びしろがある」(矢田氏)。方面別では欧州、ハワイ、沖縄を引き続き強化するほか、海外法人については、日本からの受客に加え、自社商品のグローバルマーケットへの流通を促進。ボリュームの大きいハワイやビーチリゾートの集客回復による収益増も見込む。HIS海外支店、欧州を主軸とするMIKIグループは引き続き好調な推移を想定している。
ホテル事業は、国内では政令指定都市など観光需要の大きいエリア中心に新規ホテル開発を再開。主力の「変なホテル」はインバウンド効果による客単価の向上を図るとともに、プレミア化、コラボレーションルームなどの展開を加速する。海外でも日本での成功モデルを横展開する。目標は売上高が同17%増の270億円、営業利益が同26%増の38億5000万円。
なお、2025年の日本人出国者数については1500万人を予想。矢田氏は「2019年と比較し、75%の水準。市場におけるシェアアップも含め、需要拡大に取り組んでいきたい」と意気込んだ。