JALのワーケーション導入事例

 JALのワーケーション導入事例

ワーケーションに取り組んでいる企業は、どのように制度を導入しているのでしょうか?日本航空(JAL)の先進事例をご紹介します。

「ワークスタイル改革」の一環として導入

日本航空(JAL)は2017年7月に日本の大企業で初めて、ワーケーションを制度化しています。
同社では2015年から「ワークスタイル変革」に取り組み始め、社員が自由に席を選べるフリーアドレスの導入や固定電話の廃止、テレワークの環境整備などが進められてきました。
そうした取り組みの中で、休暇時にテレワークでの業務を行える制度としてワーケーションが導入されました。これにより、例えば長期休暇取得の際、急な会議が入っても休暇の日程変更をする必要がなくなるなど、年休取得の促進につながります。
2018年は174名、2019年は247名の本社社員がワーケーションを取得しており、取得者が200人を超えたあたりから、社内でワーケーションという言葉が浸透してきたということです。2019年5月にはワーケーションに続いて、出張先で休暇を取れる「ブリージャー」も導入し、休暇制度の多様化が進んでいます。ワーケーションは休暇がメインで、その一部でテレワーク業務が行われるという位置付け、ブリージャーは業務がメインで、休暇はプラスアルファと見なされます。

ワーケーションはテレワーク規定を基本に運用

ワーケーション制度のベースとなっているのが、テレワーク規定です。JALがテレワークの導入を始めたのは2014年度からで、在宅制度のトライアルからスタートし、2016年度からはカフェなど自宅以外でも実施できるようになりました。申請理由は問わず、全社員を対象としていることから毎年、利用者数が増加し、2018年度は年間約1万2000人日の利用がありました。

ワーケーションもテレワークの労務規定を基本としており、その延長線上に位置付けられていると言えます。担当部署である同社の人財戦略部によれば、申請の手続きはテレワークと基本的に同じで、実施前日までに、休暇取得の申請と当日の就業場所の承認を受けます。
実施当日は始業と終業報告を行い、実施後は勤怠管理システムへの登録、業務の進捗状況の共有を行います。勤怠管理システム上では、「ワーケーション勤務」という項目が選べるようになっています。

ワークショップや 体験ツアーで社員に周知啓蒙

制度の導入当初は、社員から「休暇に働かせるのか」など懸念の声も上がったそうですが、人財戦略部ではワークショップや体験ツアーなどを実施して周知を図りました。
2018年に鹿児島県徳之島町で実施した家族や友人同伴の約20人の体験ツアーでは、家族との時間や働き方を見直す機会になったという声が多く、特に「地域の方とのふれあいが新たな活力になった」という意見が多かったそうです。
ワーケーションを制度導入する場合、企業が地域と社員の接点を積極的にマッチングすることも、定着につながる一つの要因といえるかもしれません。

参考 2020年09月15日トラベルボイス
「JALや和歌山県が積極的に取り組むワーケーションとは? 「休暇+仕事」のあり方を語るシンポジウムを取材した」
https://www.travelvoice.jp/20200915-147049

及び同記事で取材したオンラインセミナーの講演内容

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