急速に普及したテレワーク

2020年に始まったコロナ禍を経て急速に普及し、定着した「テレワーク」という働き方。改めてテレワークが普及した経緯を振り返るとともに、テレワークの現状について見てみましょう。

コロナ禍を経て、働き方を取り巻く環境が急速に変化

コロナ禍以前から、テレワークの普及拡大の必要性については、各方面から指摘されていましたが、なかなか普及することはありませんでした。しかしコロナ禍を経て、働き方を取り巻く環境は急速に変化します。

大きなターニングポイントとなったのは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて2020年4月7日に日本政府が第1回目の緊急事態宣言を発出したことです。対象地域は埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県の区域で、ゴールデンウィークが終わるまでの約1ヶ月間、対象地域の人々はエッセンシャルワーカーを除き、外出の自粛を求められました。

この第1回目の緊急事態宣言は、当初の予定から期間が延長され、5月末までとなりました。その後も感染状況に応じて2回目、3回目の緊急事態宣言が発出され、こうした状況を受けて、企業を中心にテレワークの導入が急速に行われました。 

雇用型テレワーカーは全国で3割弱、首都圏での割合は4割に

国土交通省は2002年から「テレワーク人口実態調査」を毎年実施しています。感染が全国的に拡大したコロナ禍の2021(令和3)年度の調査結果では、雇用型テレワーカーの割合が27.0%で前年度から4ポイント増加し、過去最高値を更新しました。

居住地別に見ると、雇用型テレワーカーの割合は東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の首都圏で42.1%を占めたのに対し、地方都市圏(注)では17.7%にとどまり、大きな差が見られます。

地方都市圏:首都圏、中京圏(愛知県、岐阜県、三重県)、近畿圏(京都府、大阪府、兵庫県、奈良県)以外の道県

令和3年度 テレワーク人口実態調査  調査結果 
https://www.mlit.go.jp/toshi/daisei/content/001471979.pdf

2022(令和4)年度の調査では、雇用型テレワーカーの割合は前年度よりわずかに減少し、26.1%となりましたが、雇用型テレワーカーのうち、テレワークの継続意向がある人は約87%と高い割合を示しました。

また、継続意向がある雇用型テレワーカーに、テレワーク実施希望頻度を調査したところ、約6割が現状を上回る頻度のテレワーク実施を希望していることも明らかになりました。

雇用型テレワーカーを勤務地域別でみると、首都圏は昨年度と同様に約4割と高い水準を維持していますが、地方都市圏は17.5%にとどまり、依然として首都圏との大きな差が続いています。

令和4年度 テレワーク人口実態調査  調査結果
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001598357.pdf

これらのデータから見ると、コロナ禍を経てテレワークは企業や団体で働く人々にとって一定程度での普及・定着が進んでおり、特にその傾向は、首都圏に強く見られると言えるのではないでしょうか。