コロナ禍で急速に普及したテレワークという働き方。企業においては当初、「イコール在宅勤務」という考え方が中心でしたが、「どこでも働く場所は問わない」という形に解釈が広がりつつあります。旅先でのテレワークについての意識調査や、企業の新たな取り組みを紹介します。
2023年1月の調査で「旅先テレワークの積極派」は約4割に
JTB総合研究所は2023年1月、「新型コロナウイルス感染拡大による、暮らしや心の変化と旅行に関する意識調査」の結果を発表しました。
「今後の生活で利用を継続したいこと・減らしたいこと」の設問項目の一つに「旅行先や帰省先などでのリモートワーク(ワーケーション)」があります。これに対して「継続したい/機会を増やしたい」という回答が21.4%、「今後やってみたい・新しく取り入れたい」は17.4%を占めました。合わせて約4割が、旅先テレワークに積極的な姿勢を示していると言えます。
「新型コロナウイルス感染拡大による、暮らしや心の変化と旅行に関する意識調査(2023年1月)」〜行動制限のない第8波における個人の意識と旅行〜
https://www.tourism.jp/tourism-database/survey/2023/01/covid19-tourism-202301/
企業の取り組み事例①〜Yahoo! JAPAN
近年、旅先テレワークを後押しする制度を打ち出す企業も増えていますが、コロナ禍が始まる前から、こうした取り組みを行っていたのがYahoo! JAPANとユニリーバです。
Yahoo! JAPAN(ヤフー株式会社)は2014年に、働く場所を自由に選択できる「どこでもオフィス」というリモートワーク制度を設け、2020年には月5回までという制限を解除して無制限としました。2022年1月の時点で、約9割の社員がリモートワークで業務に従事し、同じく約9割の社員がリモート環境でも「パフォーマンスへの影響がなかった」、もしくは「向上した」と回答しています。
2022年4月からは、それまであった通勤手段の制限を解除したり、働く環境を整備するための手当てを増額するなど「どこでもオフィス」の内容をさらに拡充しました。
https://about.yahoo.co.jp/pr/release/2022/01/12a/
企業の取り組み事例②〜ユニリーバ
ユニリーバは2016年7月から、社員が働く場所や時間を自由に選べる新しい働き方「WAA」(Work from Anywhere and Anytime)を導入しました。
原則全社員が対象で、平日の5時~22時の間で自由に勤務時間や休憩時間を決められ、期間や日数の制限はありません。上司に申請して業務上の支障がなければ、理由を問わず会社以外の場所で仕事ができ、旅先テレワークがしやすい環境が作られています。
https://www.unilever.co.jp/planet-and-society/be-yourself/waa/
企業の取り組み事例③〜富士通
コロナ禍を受けて富士通は2020年7月、従来の通勤の概念を変える新しい働き方「Work Life Shift」を推進すると発表しました。
約8万人の国内グループ従業員の勤務形態はテレワーク勤務を基本とし、「Borderless Office」として、固定的なオフィスに縛られるのではなく、各々の業務内容に合わせて自由に働く場所を選択できる勤務形態にします。こうした取り組みと合わせ、通勤定期代の支給も廃止しています。
https://pr.fujitsu.com/jp/news/2020/07/6.html
企業の取り組み事例④〜NTTグループ
コロナ禍を受けてNTTグループは2021年9月、社員の働き方はリモートワークを基本とし、働き方を自由に選択・設計可能とする方向性を示しました。
これを機に、リモートワークの制度や手当などを拡充して社員の働く時間や場所の自由度を高めてきましたが、2022年6月には、日本全国どこでもリモートワークで働くことができる新制度「リモートスタンダード」を導入しています。
https://group.ntt/jp/newsrelease/2022/06/24/220624a.html