旅先テレワークの誘致にはさまざまな関係者が関わり、一般的な観光振興とはまた異なった視点が必要となります。自治体やDMOが地域に旅先テレワーク利用者を誘致するにあたり、どんなことが必要となるのでしょうか。押さえておくべき4つの重要なポイントを紹介します。
旅先テレワークという「手段」による「目的」を明確化
旅先テレワークに対して多くの地域が期待するのが「地域活性化」ですが、一口に地域活性化と言っても、交流人口を増やすことによる域内消費の増加なのか、若い世代の移住定住者を増やしたいのか、その中身はさまざまです。
旅先テレワークは地域活性化の有効な「手段」ですが、それ自体が「目的」ではありません。誘致することによって、地域にとってどういう効果をもたらしたいかを具体化し、明確にすることが重要です。
多様な関係者を結ぶコーディネート役
旅先テレワーク利用者は医療機関や、託児所、スーパーなど地域の生活に関わる機関に接する機会が多く、生活者としての側面が強くなります。さらに企業主導の旅先テレワークを誘致したい場合は、地域企業との交流なども考えられ、一般的な観光よりもさらに多様な地域の関係者が関わります。
地域として誘致に取り組む場合は、こうした関係者が定期的に顔を合わせてコンセンサスをとる機会や、そのためのコーディネート役が必要です。多くの場合、DMOがその役割を果たすと考えられます。
地域住民の理解や協力を得る努力
「多様な関係者」の中でも、重要なのが地域住民です。旅先テレワーク利用者は一般的な観光よりも滞在が長期化し、スーパーやコインランドリー、託児所などの住民の生活空間に接したり、住民と直接ふれあう機会も多くなります。利用者にとっても、住民に快く受け入れられるかどうかは、滞在の快適さに大きく影響します。旅先テレワーク誘致にあたっては、あらかじめ地域住民に説明会を行うなど、理解や協力を得る努力も必要と言えます。
感染対策の見える化、医療機関との連携強化
コロナ禍は今後も長期化が予想され、地域住民にとっては来訪者の感染対策、来訪者にとっては地域の感染対策が気になる状態は、しばらく続くと考えられます。受け入れる地域が、住民と来訪者の双方に向けて旅先テレワーク利用者を受け入れる際の感染対策を「見える化」することは必須と言えます。
また可能であれば進めたいのが、地域医療機関との連携強化です。万が一、旅先テレワーク利用者から感染者が出た場合どうするのかといった話し合いを事前にしておくことも、安心安全な受け入れにつながると言えます。