観光客に代表される「交流人口」と、移住者も含め、その地域に居を定めて生活する「定住人口」。「関係人口」はどちらにも属さずに地域と関わる人々を指します。関係人口は地域活性化や地域課題の解決につながると期待され、その創出に対して旅先テレワークやワーケーションは大きな役割を果たすと考えられています。
地域活性化に期待される「関係人口」とは
関係人口は、数年前から聞かれるようになった比較的新しい言葉です。総務省が設置した「関係人口ポータルサイト」には以下のように書かれています。
「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉です。
地方圏は、人口減少・高齢化により、地域づくりの担い手不足という課題に直面していますが、地域によっては若者を中心に、変化を生み出す人材が地域に入り始めており、「関係人口」と呼ばれる地域外の人材が地域づくりの担い手となることが期待されています。
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地域の外の人たちが地域と関わりを持つことで、住んでいるとわからなかった地域の良さや欠点に気づいたり、客観的な視点から新たなアイデアを生み出し、地域を活性化する・・関係人口にはそうした「触媒」的な役割が期待されていると言えます。
関係人口の創出に寄与する旅先テレワークやワーケーション
こうした関係人口を生み出すきっかけになりやすいのが旅先テレワークやワーケーションです。一般的には通常の観光旅行よりも滞在が長期化し、観光スポットよりもその地域の生活圏に触れるケースが多くなります。
こうしたことから、地域の環境に慣れ親しみやすく、定期的に同じところに通うリピーターも少なくないでしょう。その中で、地域の人々とふれあったり、地域課題を肌で実感する機会も多く、そこからさまざまな気づきが生まれると考えられます。
「気づき」を生かすことは地域と利用者双方にメリット
旅先テレワークやワーケーションを誘致したいと考える地域は、利用者の仕事に必要な通信環境の整備や、余暇の充実などに注目しがちです。しかし関係人口の創出という観点から考えると、利用者から得た気づきやアイデアを地域活性化にどう生かすかも合わせて考慮することは、重要なポイントとなります。
一定期間、暮らすように滞在する利用者の、地域に対する客観的な視点を地域づくりに落とし込むことは、地域にとってプラスになるだけでなく、利用者にとっても貴重な体験となります。それは、地域と利用者を継続的に結びつける「絆」にもなり得ると言えます。