旅先テレワークの4つの効用

旅先テレワークは大きく分けると、利用する側と受け入れ側が存在します。利用する側は利用者と企業、受け入れ側は地域の自治体やDMO、宿泊施設などのサービス提供者がおり、旅先テレワークに関する政策を推進する国の各官庁の存在も重要です。旅先テレワークに関わるプレイヤーを整理すると、大きく分けて以下の5分野に分けられます。

  1. 推進したい=国 <内閣府/観光庁/厚労省/環境省/農水省など>
  2. 誘致したい=地域 <自治体/観光地域づくり法人(DMO)など>
  3. サービス提供したい=サービス提供事業者 <宿泊施設/ワーキングスペースや飲食店など>
  4. 推進・導入したい =サービス利用事業者<企業/団体/組織など>
  5. 利用したい=利用者 <会社勤め/フリーランス>

それぞれの立場から見た旅先テレワークの効用を4つのポイントにまとめました。

ワークライフバランスの推進(5.利用者)

日常生活を離れ、異なる場所で仕事をしながら滞在することで、滞在先の地域の人や文化と触れ合い、自分の生き方を見つめ直す機会になります。週末は滞在先で観光を楽しむことでリフレッシュでき、生活にメリハリも生まれます。

ジョブ型雇用の拡大(4.サービス利用事業者)

ここ数年、大企業を中心に、「副業」をみとめる会社が増えてきました。その過程でコロナ禍で業務そのものが減った企業も少なくなく、減給に踏み切った会社も珍しくありません。それらを補完する意味合いもあり、副業から一歩進んで「ジョブ型」と呼ばれる、特定の専門スキルを生かした労働形態や雇用が生まれています。

今まで以上に自分の裁量で自律した働き方が求められるようになる中、自分で働く場所を決められる旅先テレワークは、そうした傾向を促進する大きなモチベーションになると考えられます。

滞在型旅行の浸透(3.サービス提供事業者)

仕事場所を自由に選べる旅先テレワークは、滞在先で仕事の合間に観光を楽しむ形になります。仕事がメインとなるので、滞在期間は1週間、2週間などの長めになることが想定されます。現在、地方を中心に多くの宿泊施設が連泊や長期滞在化に力を入れていますが、旅先テレワークはそうした流れを促進する好材料と考えられます。

関係人口の創出(1.国 2.地域) 

旅先テレワークは、首都圏を始めとした都市部から地方への人の移動の促進につながります。地域にとっては、国が促進している関係人口の創出を図る機会につながると言えます。