ブータン政府観光局(TCB)は、2014年の日本人観光客数目標1万人を目指す。同局は、2013年1月に日本事務所を東京に開設(フォーサイト・マーケティングに委託)して、日本人観光客数の増加に向けた取り組みを強化。局長のチミー・ペム氏は、こうした活動とあわせて日本発着フライトの定期便化への働きかけなど積極的な活動をする方針を明らかにした。
同国への世界からの旅行者数は、2009年の2万2360人から大幅な増加を続けており、2012年には10万人の目標人数を達成。2018年までには年間20万人を達成する目標設定も検討している。「国民総幸福量」(GNH:Gross National Happiness)という概独自の開発理念で知られるブータンにとって、観光政策は国民GNHの向上に大きく貢献するものという位置づけ。同国の社会経済発展、貧困削減のうえで重要な可能性を秘めている産業として、自然や文化への影響を最低限に抑えつつ、持続可能な発展を目指している。
こうした中で、米国や中国などとあわせて日本市場を重要視。2007年に2008人だった日本人旅行者は急増を続けており、2012年には前年のブータン国王夫妻来日の話題で前年比約8割増の6967人と過去最高を記録。2013年は前年4割減の4015人と減少したものの、ペム氏は「2012年は特別だった」との考えで今後も引き続き日本市場は成長すると見込んでいる。特に、2014年はチャーター便の実現を目指しており、強気の1万人が目標だ。
日本人観光客は、他国に比較して滞在日程が短く、ブータンの首都のティンプーやパロ、プナカなど西部を5日間程度で訪問する旅行がメイン。祭りの時期に集中し、3月または4月にパロ、9月または10月にティンプーで開催される宗教祭「ツェチュ」をテーマにした旅行が多いという。ペム氏は、こうした定番コースだけでなく他地域の祭りや新しい観光資源を紹介したい考え。通年で安定した観光客誘致を図る。
また、現在結果論として成熟した市場である40代以上のシニア世代が中心となっている観光客の層を若い世代にも拡大したい考え。ブータンはスピリチュアルな体験、特別な体験が可能で、ペム氏は特に若者向けにはトレッキングプログラムを推薦している。ヒマラヤ山系の4000メートル級の山から、ソフトなアドベンチャー可能なトレッキングまで自然と向き合う選択肢が豊富さからだ。またブータン国内では、ネット環境が良く、個人旅行にも困ることは少ない点をアピールした。
(トラベルボイス編集部:山岡薫)