オンライン旅行業界に特化した国際会議「WIT Japan2014」が2014年5月16日、東京で開催された。WITは2005年にシンガポールで初開催されたイベントで今年で10年目。日本で行われる「WIT Japan」開催は今回で3回目となり、来場者は380名だった。この人数は、3年前に初回と比べて約3倍となるもので、会場では国内外のオンライン旅行業界のリーダーが集結、活発な議論が行われた。
オープニングではビデオメッセージで、安倍総理大臣が登場。地域活性化や経済波及など、観光がもたらす効果を挙げた上で、「インターネットで人と人との繋がりを生み出す技術はますます重要になっていくと思う」と述べ、オンライン旅行業に対する期待を示した。
今回のテーマはWIT10周年を記念し、「Little Big 10:Trends Changing Travel In Japan & North Asia ~10大トレンド:急速に変化する日本と北東アジア旅行業界」に設定。会議ではまず、レクチャーとしてリクルートライフスタイル代表取締役社長の北村吉弘氏が、リクルートの観光ITに関わる取り組みを説明した。
この中で北村氏は、リクルートが実施しているスマートフォンとポイントプログラムを活用した観光O2O(オフラインtoオンライン)を取り上げ、「モバイルがインターネットの使い方を確実に変えている」との認識を披露。「私としては今後、PCとモバイルの垣根がなくなると思う。ウェアラブルも含め、手の中に納まり人と一緒に動くPCが拡大していくだろう」と展望し、その際にはO2Oよりも「オフラインでオンラインにリアルタイムに接続するという意味でOatO(オフライン・アット・オンライン)、『OaO』(オー・エー・オー)」がキーワードになるとの考えを示した。
- 観光地O2Oを展開するリクルート、沖縄と箱根でも開始、熱海に加え今後も加速(2014年 5月 15日 )
- リクルート、熱海で「観光地O2Oモデル」を開始、ポイント会員基盤を活用(2014年 2月 19日 )
続くパネルディスカッションでは、世界と日本のトップOTAやメタサーチサイト計8社が登壇し、日本や北東アジアの現状とともにオンライン旅行業界のトレンドや海外展開などの取組みについて発表があった。このなかで、各登壇者はオンライン旅行業界におけるモバイルの伸張状況やロイヤリティ・ポイントサービスの活用について言及した。
詳細については後日記事掲載するが、注目が集まったトピックスをひとつ紹介する。それは「Yahoo! トラベル」が開始する宿泊施設からの手数料無料化についてのOTAの見解だ。「脅威になるのか?」という質問に対して、「(手数料は)ハイタッチなサービスに対する対価としていただいており、(無料化が)脅威になるとは思っていない」(楽天・執行役員トラベル事業長・山本考伸氏)、「現在はホテルの在庫が少なくなるなか、(ホテルは)稼働率よりもレベニューを求めている。(客室を)いち早く販売することが求められているなか、それをお手伝いできることがあれば今の一定の手数料はいただく価値があるのではないか」(i.JTB代表取締役社長・今井敏行氏)などの発言があった。各OTAは驚異的な影響にはならないとの見解だ。
また、日本上陸して間もない新興のオンラインサービス「Airbnb」や「Uber」、日本に定着した感のあるSNS、LCCの今後、インバウンドビジネスなどに対するオンライン旅行業界のリーダーや識者による見解が示された。詳細は後日紹介する。
▼会議に参加した業界のリーダー達
参考記事>>>
(トラベルボイス編集部)