長崎県・ハウステンボスは、2015年7月15日に新コンセプトとなる“スマートホテル”を開業する。低価格と快適さをかねそなえたローコストホテル(低価格ホテル)として運営するもの。ホテル経営で大きな負担となる人件費を削減するために、人に代わってロボットがサービスを提供。また、特殊な工法で建築費を削減、太陽熱発電を導入するなどで世界最高水準の生産性を目指す。このほど開催された、決算会見で代表取締役社長の澤田秀雄氏が、世界展開を見据えた計画について明かした。
澤田氏は、2015年7月の開業で成功すれば「世界に数百の展開していく」考え。「世界最先端のホテルを用意する(澤田氏)」と、今回のプロジェクトに自信をみせた。
ホテルの仕組みはこうだ。
建築や設計は、東大生産技術研究所や鹿島建設などと共同開発。コンテナを組合せる設計や、壁への廃材利用など特殊な工法をとることで、建設費を約4割削減することに成功した。通常は人間が行うサービスは、フロント、荷物運び、掃除などでサービスロボットを投入。最終的なチェックは人の手を借りることになるが、通常の人件費から20~25%の削減が可能になるという。また、チェックインは顔認証を導入し、客室の鍵をなくすことで効率性を高める。光熱費では、太陽光発電などを活用することで7割程度に。こうして、コストを削減することで低価格の宿泊料金を提供する。
澤田氏は、2020年の東京オリンピックや訪日外国人の増加で、日本国内で客室が不足する点を指摘。特殊工法で効率的に客室を増やすことができ、さらに低価格で提供できる点に商機を見出している。安全性については「当然のこと(澤田氏)」、重要視しているのは快適さであることをアピール。「3つ星くらいの料金で、サービスは4つ星的なスマートなホテルを目指す(澤田氏)」。
新たなホテルの予約は2月1日から。また、ハウステンボスで開始するスマートホテルは、半年後に愛知県ラグーナテンボスに投入される予定。澤田氏は、3年後には世界展開を図りたい考えだ。
▼サービス・観光産業でロボットが活用する未来目指して
澤田氏は、新プロジェクトでロボットを活用する理由について「将来サービス産業で使えるロボットを開発したい」と明かす。現在、メーカーとの共同開発を進めており、ハウステンボス側からはソフト面の経験値を提供。ロボットが工業的な活用だけでなく、サービス産業でも活用される未来を目指しているという。今回の取組みは、「その第一歩になれば」との考えで進められた。こうした進化を続け、将来は飲食店など人々の身近なところでロボットが活躍する未来を展望した。
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(トラベルボイス編集部:山岡薫)