日本政府観光局(JNTO)理事長・松山良一氏が2016年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。
2016年は、海外拠点での現地目線に立つプロモーション活動や、広域観光周遊ルートの形成やプロモーションを通じて国内すみずみまでを視野に置いた地方創生に注力、地方への誘客の前提となる受入環境整備や支援も一層推進していく。同時に、MICE分野でもアジアトップの国際会議開催件数を維持するなど、「ビジット・ジャパンの旗手」としての活動に専心するとしている。
発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。
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観光の力で日本をより元気に
新年明けましておめでとうございます。
昨年、JNTOは、訪日プロモーション事業の実施主体として新たなスタートを切りました。海外14事務所のネットワークを活かし、事業の企画から実施までをJNTOが一体的に行うことととなり、2015年は、私どもにとって大きな節目の年となりました。
昨年の訪日外国人旅行者数は、中国や東南アジア等各方面で大幅に増加し、1~9月累計で前年の年間合計を凌駕しました。訪日プロモーションに加えて、円安基調の継続、前年の消費税免税制度の拡充などの効果も表れた結果、「インバウンド消費」という言葉が浸透するなど、2015年は、インバウンドが観光業界を越えて認知された年であったといえます。
こうした中、JNTOは、海外26カ国・地域の旅行会社を日本に招請し、国内の関係者と延べ8000セッションの商談を実施した「VISIT JAPAN トラベル&MICEマート2015」を開催する等、訪日プロモーション事業の執行機関として、さまざまな事業を実施いたしました。特に9月に、ニューヨークで開催した「訪日観光セミナー」では、初めて安倍総理大臣を迎えて実施することとなりました。
今年も、JNTOは、海外事務所を中心とした事業の企画と実施により、マーケティングの高度化を図りつつ、現地目線に立った効果的なプロモーション活動を実施してまいります。
さらに、コンサルティング等を通じ、広域観光周遊ルートの形成やプロモーションを支援し、全国津々浦々への誘客に取り組むことにより「地方創生」に対し一層貢献してまいります。また、受入環境整備・向上支援、「観光の稼ぐ力」の増進を通じて、「質の高い観光」の実現にも努めていく所存です。
地方への誘客をさらに促進する上で重要となる受入環境整備・向上支援の分野では、全国のJNTO認定外国人観光案内所のネットワークの拡大と質的向上を図ると共に、交通や宿泊、通信環境についての情報発信や、サービスの充実化に向けた関係者への働きかけに取り組み、旅行者の満足度の向上に努めてまいります。
MICEに関しては、昨年、「第23回世界スカウト・ジャンボリー」が山口県で開催され、世界155カ国・地域から約3万4千人の青少年が参加し、また、MICEアンバサダーによる初の日本誘致成功案件として、4件の大型国際会議の日本開催が決定しました。今年も、引き続き、各都市やコンベンション推進機関に加え、会議施設、宿泊施設等の皆様、そしてMICE誘致アンバサダーの皆様のご協力も仰いで、アジアで1位の国際会議開催件数を維持するよう、取り組みを継続してまいります。
JNTOは、インバウンドへの日本社会全体の大きな期待に応えるべく、「ビジット・ジャパンの旗手」として、今年も取り組んでまいります。インバウンドの果実を日本のすみずみまで届け、観光により地方を、そして日本をより元気にできますならば、これに勝る喜びはありません。国、地方自治体、民間企業等の関係者の皆様とともに、これまで以上にインバウンドの拡大に向け全力で取り組んでまいりますので、なお一層のご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
日本政府観光局(JNTO)
理事長 松山 良一