JTB代表取締役社長の髙橋広行氏が、2016年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。
高橋氏は所感の中で、2016年も市場の堅調な伸びを背景に、更なる国内事業の進化とグローバル事業の成長を推進。国内旅行では地域活性化と市場の拡大、グローバル事業ではこれまで同様に投資積極化を行い「世界発・世界着。」をテーマとする事業拡大を進める方針を表明した。また、訪日外国人旅行者向けには、ネット販売や地域の魅力発信を訴求する商品造成、日本到着後のタッチポイントなど、多角的な事業強化を展開。さらにスポーツツーリズムを通じた日本・東京の経済活性化にも寄与していく考えとしている。
発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。
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新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年の観光業を取りまく環境は、海外旅行が円安や国際情勢等の影響で厳しい状況ではありましたが、国内旅行においては北陸新幹線金沢開業やMICEなどに後押しされ個人・法人ともに堅調、訪日旅行も大変好調に推移し、当社事業全体としても堅調に推移しました。
2016年においては、企業の業績が着実に推移し大手企業を中心にB/Uや臨時手当等の支給額を増やす動きがみられること、雇用環境などの落ち着きなどにより現在の経済環境が継続され、市場は引き続き堅調に伸びていくと考えられます。このような環境を背景に、当社では更なる国内事業の進化とグローバル事業の成長を推進します。特に国内旅行は「地方創生」によって大いに後押しされていますので、地域活性化と市場の拡大を図っていきます。またグローバル事業においても、これまで同様に人財を含めた投資を促進し、「世界発・世界着。」に向けた事業拡大を図ってまいります。
国内においては、昨年は北陸新幹線金沢開業がけん引しましたが、今年は北海道新幹線新青森~新函館北斗間開業があり、北海道および東北両地域の需要が拡大すると考えられます。東北の震災から今年は5年になりますが、新幹線を含めた新たな「旅のルート」や訪日外国人のお客様に対する新たな提案を行う大変良い機会であり、当社もその仕掛けを積極的に行ってまいります。また、伊勢志摩サミットの開催、「東京ディズニーシー®」「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」の15周年、日本最大級となる京都鉄道博物館のオープンなど、国内においては話題が豊富にあり、国内旅行は堅調に推移すると考えております。
一方、訪日外国人数は昨年大幅に増加し、対前年約150%の1,975万人程度になったと推測されます。今年は、昨年のようなビザ緩和の効果が大きく期待できないことなどから伸び率は鈍化しますが、人数は約400万人増の2,350万人と見込んでおります。引き続き、当社では訪日外国人のお客様に向け、Web販売の強化、地域の魅力を堪能する商品の造成、日本到着後のタッチポイントなどの強化を推進してまいります。
また、今年はリオでオリンピック・パラリンピックが開催されます。その閉会式では、「次は東京」とアナウンスされ、その時点から一気に世界中の人々の注目が日本および東京に集中し、相互交流や経済の活動が活発になっていくことが想定されます。日本の観光業にとって大きな追い風になると見込んでいますが、当社としてもスポーツツーリズムを更に強化し、交流拡大の一翼を担いたいと考えております。併せて、ここ数年低迷を続けている海外旅行においては業界を挙げて復活に向け取り組んでまいります。
当社は、ブランドスローガン「感動のそばに、いつも。」(英語表記“Perfect moments, always”)のとおり、お客様との一瞬一秒の瞬間を大切にし当社グループの経営理念「地球を舞台に、人々の交流を創造し、平和で心豊かな社会の実現に貢献する。」を実践するための努力を続けてまいります。
本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
JTB 代表取締役社長
髙橋 広行