東京商工リサーチが国内の旅館・ホテルを対象に実施した業績動向調査で、全体の総売上高は前期比3.0%増の2兆6405億300万円となった。利益総額は1105億8300千万円で、昨年の1310億1600千万よりも約200億円減少している。
この調査は、旅館・ホテル運営企業のうち、売上高が3期連続で判明している1569社を対象に実施したもの。過去3年間にわたる業績の推移は以下のとおり。
全体のうち、増収となった企業は757社(全体の48.2%)で、前期の862社(同54.9%)と比較すると105社減少。減収企業は238社(構成比15.2%)で、前期の186社(同11.9%)と比較すると52社増加。横ばいは574社(同36.6%)で前期の521社(同33.2%)と比較すると53社増となった。増益企業は41.0%を占め、現役企業35.8%を上回る結果となっている。
地域別でみると、増収企業が最も多いのは近畿(64.6%)。次いで関東(59.5%)、北海道(51.1%)と続く。京都、大阪、神戸、奈良といった観光地が多い近畿や、東京を中心とする大都市圏、国内外の旅行者に人気のある北海道で、増収傾向がみられる結果となった。
都道府県別で最も増収企業率が多かったのは沖縄県(86.96%)。次いで、滋賀県(81.82%)、山梨県(78.95%)と続いた。一方、減収企業率が最も多かったのは岩手県(80.0%)。2位は茨城県(75.0%)、3位富山県(66.67%)となっている。
なお、このほど帝国データバンクが発表した「全国の旅館・ホテル倒産動向調査」の結果、2015年の倒産件数は前年比8.9%増の86件で2011年以降4年ぶりに増加に転じる結果となった。地域別では、北海道・関東・北陸・中部で倒産件数が増えた半面、近畿・中国・四国・九州地方では減少。休廃業・解散件数は131件(前年比14.9%増)で3年ぶりに増加した。
倒産の様態では「特別清算」が2割以上を占め、上昇傾向にあることが判明。これは、新会社への事業譲渡を伴う「事実上の再生型」が多かったことが要因とみられている。