みずほ総合研究所はこのほど、訪日外国人の増加を裏付ける要因分析結果を発表した。それによると、2015年の中国の訪日旅行者増の最大要因となったのは「ビザ緩和」。為替変動の影響は比較的少なく、2国間の政治的関係による影響が大きい結果となった。一方で、台湾・香港・韓国といった新興工業経済地域(NIEs)では「為替」、タイなど東南アジア諸国では「所得」が主要因となることがわかった。
これは、同研究所がアジアをはじめ欧米15か国・地域を対象に調査したもの。現地の為替、所得、震災のほか、ビザ、原油価格など複数を項目を用いて「インバウンド需要関数」を独自に導出。その定式に基づいて分析した。
レポートでは中国について、商用目的以外の訪日旅行が解禁されたのが2000年9月で、その後も団体旅行に限定され、ようやく2009年7月に個人旅行ができるようになったという独自背景を意識した分析を実施。尖閣諸島問題にともなう両国関係の悪化など、政治的要因による変動が他の国よりも大きいことが確認されたとする。反面、ビザ緩和の好影響は大きく、両国間の政治的関係が安定することにより現状のビザ緩和が継続する場合には、引き続き訪日需要の拡大につながるものと予想する。
一方、台湾、香港、アメリカでは為替や原油価格の下落が旅行者増をけん引。韓国では為替の影響が好調の主要因となった。タイではビザ免除や国内所得の増加が大きな要因となり、為替の影響はほとんどないことが明らかになっている。
なお、2016年の訪日需要については、原油価格の下落の影響を除くと中国ではさらに14%程度、対象15か国合計では約10%増となると推定。伸びはやや緩やかになるものの、引き続き増加傾向が継続する見通しとなった。
今回の調査の対象は、韓国、中国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、英国、フランス、ドイツ、アメリカ、カナダ、オーストラリアの15か国・地域。
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