民泊新法・旅館業法改正へ大詰め、20日に中間報告案、営業日数制限は先送り・立ち入り調査は民間委託も

厚生労働省と観光庁が事務局を務める「民泊サービスのあり方に関する検討会」は、2016年6月2日に閣議決定された規制改革実施計画と検討会で議論されてきた民泊サービスの制度設計をもとに6月20日に開催される検討会で最終報告案をまとめる。その後、今年度中に民泊新法と旅館業法改正の成立を目指す方針だ。

6月10日行われた第12回検討会では、規制改革実施計画で示された「家主居住型」での年間日数上限180日以下について議論がかわされた。まだ具体的な日数は定まっていないものの、制限日数を超える民泊については旅館業法上の簡易宿所としての登録を促していくことが確認された。

具体的な日数については、宿泊業界との利害関係の調整が難しいことから、最終報告では明記しない方向。また、現在の7日〜10日以上の宿泊を定める特区民泊との整合性について、厚生労働省は「矛盾はない」との見解を示した。日数制限について簡易宿所、民泊新法と使い分けられることから、「選択肢にそって判断できる」との認識だ。年間日数制限を超えた民泊を行う場合は、簡易宿所の登録をすれば旅館業法上の営業が可能になり、より民泊と宿泊業との線引きが鮮明になる。

日数制限を含めた民泊ルール監督のための立入検査については、「権限行使は慎重に判断すべきだが、民間の力も借りていく(事務局)」方向性が示された一方、自治体からは立入検査や届出のシステム構築にはかなりの負担が予想されることから、国のサポートを求める声もあがった。

家主不在型については、住宅の定義がまだはっきりしていないことから、最初から投資目的での民泊が増える恐れがあるほか、全国に複数物件をかかえることで賃貸物件に近い運営になる懸念も示された。これについて、事務局サイドは、規制改革実施計画で示されているように、自治体条例による拒否を可能にするほか、登録された管理者の管理委託や住宅提供者本人が管理者として登録することで対応できるのではないかとの見解を示した。

所管行政庁については、国レベルでは国土交通省と厚生労働省の共管とする方向性。地方レベルでも、関係部局が複数にまたがることが予想されることから、関係部局間での連携を求めることにする。

このほか、観光庁からは最新のホテル客室増加予測も報告。2020年までに東京で1万600室、近畿圏で7,000室が新たに増える見込みで、「容積率の緩和で、この数はさらに増えることも予想される」。一方で、ホテル新設計画は訪日外国人旅行者の伸び率に追いつかない見込みであることから、数的目標は定めないものの、改めて民泊の有効活用が求められるという見解を示した。今後、訪日外国人の増加傾向にあわせた民泊の活用がどの程度進むか、試算を行う方針だ。



旅館業法改正、罰金引き上げ、ホテル・旅館の営業許可一本化へ

旅館業法の改正については、宿泊拒否制限規定の見直し、無許可営業者に対する報告徴収・立入権限の整備および罰則の見直し、賃貸借契約、管理規約に反していないことの担保措置を改正事項として改めて提示。このうち、罰則については、現行の「懲役6ヶ月以下あるいは罰金3万円」のうち、罰金の引き上げを検討する。

また、ホテルと旅館の区分一体化についても改正の方向。現在、旅館は5室以上1室7平米以上、ホテルは10室以上1室9平米以上と規定されているが、この区別が有名無実化していることから、営業許可を一本化する方向で法改正を行う。

取材・記事:トラベルジャーナリスト 山田友樹

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