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ANAとJAL、カスハラ対策で共通方針を策定、迷惑行為に組織的に対応へ

ANAグループとJALグループは、従業員が安心して働ける環境を守ることを目的とし、「カスタマーハラスメントに対する方針」を共同で策定した。合わせてカスタマーハラスメント(カスハラ)の基本方針、定義、該当行為例を明文化した。

※写真:左から、ANA CX推進室CS推進部部長 宮下佳子氏、JALカスタマーエクスペリエンス本部CX推進部 部長 上辻理香氏

カスハラ問題については、2024年4月にJR西日本が基本方針を相次いで発表するなど、企業が従業員の労働環境を守る対応をすすめる動きが広がっている。JAL、ANAともに2023年は300件程度のカスハラが確認されており、年々、増加傾向にあると感じているという。これまで航空法に反することには毅然と対応することができたが、法的な後ろ盾がない事案については苦慮してきた。今回の基本方針の策定は、こうした状況をうけて2023年秋頃から準備を進めてきた。

迷惑行為に組織的に対応、明確な定義も

両社が策定した基本方針では、安心で快適な空の旅の提供を目指す一方で、暴言や暴行などの著しい迷惑行為など(カスタマーハラスメント)に対しては、従業員の人権および就業環境を害するものとして、毅然と行動し、組織的に対応すると明記している。

また、カスタマーハラスメントについても明確に定義。顧客または第三者(取引先など含む)からの優越的な立場を利用した「航空法、その他関連する法規に反する行為」、および「これらにつながりかねない行為」、または「義務のないことや社会通念上相当な範囲を超える対応を要求する行為」によって、従業員の就業環境が害されることとした。

そのうえで、カスタマーハラスメントに該当する行為例として、以下をあげた。

今後の対応については、各社にて、カスタマーハラスメントを受けた社員に対する心のケアやカスタマーハラスメントに正しく対応する教育などを実施。航空業界全体で定期的な意見交換会を行い、業界としてカスタマーハラスメントへの対応力向上を目指す。