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韓国観光公社、地方観光の拡大へ、女性への集中マーケティングを強化、2024年の日韓往来は1200万人

韓国観光公社(KTO)は、このほど都内で「2025韓日観光交流の夕べ」を開催した。「つながる韓国 in TOKYO」をテーマに、連携を強化して相互交流の拡大を図るため、日本の旅行会社、韓国の各地観光協会、ツアーオペレーターなどの旅行関係者が一堂に会した。

2024年の訪韓日本人客数は前年比39.2%増、2019年比1.5%減の約322万人、訪日韓国人客数は前年比26.7%増、2019年比57.9%増の約882万人。合計で1200万人を超える規模となったものの、訪日・訪韓数のギャップが大きいことが課題で、KTOは女性を中心としたコア層への集中マーケティング、韓国の地方観光の拡大、団体市場の復活などを柱とした戦略を展開していく方針を強調した。

若い世代が交流の主役に

レセプションの冒頭であいさつした韓国政府文化体育観光部次官の張美蘭氏は、訪韓日本人観光客のうち8割がソウルに集中しており、「地方都市への拡大を(日韓の観光関係者と)ともに考えていきたい」と述べたうえで、1200万人を超えた相互の旅行者の半数近くを20、30代が占めていることを指摘。「若い世代が日韓交流の主役として成長している。修学旅行、留学なども積極的に支援していきたい」と語った。

一方、日本側の国土交通省副大臣の高橋克法氏は、2025年が日韓国交正常化60周年であることに触れつつ、「日本では大阪・関西万博、韓国では南東部・慶州で10月末からAPECが開催される。国際イベントも活用しながら、両国間の交流のさらなる拡大につなげたい」と述べた。

団体市場復活に向けたプロモーションも

2024年の訪韓外国人客数は、前年比48.4%増、2019年比で6%減の約1637万人。国・地域別シェアで日本は中国(約460万人)に次ぐ2位で、KTOは訪韓外国人3000万人に向け、「地方観光時代をリードする日本市場」と位置づける。

具体的には、「限定版ローカル体験コンテンツ連携プロモーション」として、地域限定グルメ、祭りやビッグイベント、季節の特化型体験コンテンツを開発するとともに、これらを組み合わせた提案にも力を入れる。日本旅行業協会(JATA)と共同で、韓国を代表する地域別絶景30スポットを選定。商品コンテストなどを予定している。

また、市場をけん引し成熟化が進む20・30代、50・60代の女性を対象とした消費拡大プロモーション、人的交流を通じた中長期的な訪韓需要の育成を図るため、団体市場の完全復活に向けたマーケティングも強化する方針を明らかにした。

日韓の不均衡解消に向け、地方と付加価値を重視

レセプションには、韓国旅行業協会(KATA)会長の李鎮碩氏、JATA会長の髙橋広行氏も登壇した。KATAの李氏は「世界の観光需要はほぼ回復したといっても過言ではない。日韓の観光関係者が全員で力を合わせ、より多くの旅行者が双方を訪れるようにしていきたい」と述べた。

JATAの髙橋氏は「双方への旅行者数が日韓で大きな開きがあるのは大きな課題。アウトバンドとインバウンドの不均衡を解消するために、日本の旅行会社として『地方』と『付加価値』の2つのキーワードを軸に取り組んでいく」と強調。地方の魅力をどんどん発信していくとともに、「これまでの大きな反省点が飛行機とホテルをセットしただけのフリータイム型が中心だったこと。食や文化、自然、歴史といった韓国ならではのコンテンツを組み込んだ付加価値の高い商品の造成を強化し、人数だけでなく、観光消費額も高めていきたい」と力を込めた。