2014年2月14日の大雪は、各地に大きな爪跡を残した。道路閉鎖、公共交通機関の運行停止により、地域の住民だけでなく、多くの観光客も帰宅困難などの影響を受けた。大雪の被害を受けた地域の一つ、富士河口湖町観光課に観光客の状況と対応を聞いた。
富士河口湖町観光課によると、14日の夕方には交通の影響がではじめ、雪による足止めの観光客数は、確認できただけで約1200名、うち訪日客は251名(15日時点、町内の宿泊施設へのヒアリング)。ただし、施設数からいえばその4割増しくらい1700名~1800名の影響があったとも予想する。
富士河口湖町では各宿泊施設と電話やファックス等で連絡を取り、残留者の把握とともに食料や燃料等、ライフラインの状況を確認。各施設が、滞在客に対する災害対応をしているため、町としては在庫の少ない緊急性のある施設から優先的に食料などの必要物資を運搬した。足止め客の約2割が訪日客だったが、外国語など訪日客の受入対応を備える宿泊施設で滞在していたといい、訪日客や施設から相談や問い合わせなどはなかったという。
2月18日現在、概ね道路が開通し、公共交通機関も再開しはじめており、滞在客は徐々に帰宅しつつある。西湖や精進湖エリアはまだ孤立状態のため物資の運搬をしているが、このエリアも開通への見通しが出てきているという。現在は引き続き同エリアへの対応とともに、滞在客対応による支出やキャンセルなどが発生した宿泊施設に対するセーフティネットなど救済制度等の調査もはじめている。
富士河口湖町の災害対策では、町全体の災害対策本部を設け、そこに各課が連なる形となる。従来から危機対応を用意していたが、ここまでの大雪は想定していなかった。大雪では長期的な影響が発生することが判明したため、今後は地域の観光団体と長期間の危機対策を検討することを課題の一つとする。とくに道路状況など情報収集では、近隣市町村の情報も必要となるため、危機時の広域にわたる情報連携の必要性を改めて感じたという。
なお、富士河口湖町では、雪による宿泊施設の被害は現在のところ、窓ガラスの損壊程度。営業に支障がでる被害は発生していないという。
*写真は 2014/2/16、富士河口湖町:船津登山道入り口付近。撮影者は後藤由奈氏。
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自然災害に備え、旅行者を誘致する受入れ側が用意すべきことは何か。特に今後、2000万人の高みを目指す訪日客には、誘致する側として積極的な対応が必要ではないだろうか。大雪は特に力を入れようとしている東南アジアの人々にとって免疫がなく、それによる影響の予想がつかないだろう。そうした国々の人々に、どのような情報を伝えていくべきか。今回の教訓を活かし、受け入れ国として考えていく必要がありそうだ。