世界からドイツへ向かう観光市場が拡大を続けている。2014年の世界からの観光客の宿泊数数でも過去最高の7500万泊を超え、5年連続の拡大を維持。また、アンホルトGfKローパー国家ブランド指数の調査によると、ドイツのブランド評価が世界50か国の中の第2位から第1位に上昇。観光分野では8位から7位、文化分野では5位から1位に上昇した。こうした世界市場の拡大と評価の向上をうけて、同局は日本市場でも成長を維持していく方針だ。 *写真は2015年観光PRの発表会で。
このほど開催されたプロモーション発表会では、拡大するドイツ観光の背景について、ドイツ観光局マーケティングディレクターの西山晃氏が説明。理由のひとつとして、ドイツの地方都市への交通・観光インフラが整備されていることを挙げた。西山氏によると、外国人旅行者の44%が人口100万人規模の大都市(ベルリン、ドレスデン、デュッセルドルフなど)を訪れている反面、人口1万人以下の地方都市や農村で外国人の宿泊総数が22%に上っているという。同氏は「田舎に外国人が動いても十分にやっていく能力がある」としてドイツ観光の強みを強調した。
こうした中、ドイツ観光局は2015年度の年間プロモーションでイヤーテーマとして「伝統と風習」を強く打ち出す。特に、現代に生きる伝統にフォーカスして行く方針だ。ドイツは、パン文化、カーニバル、楽器製造など伝統文化のリスト27件を作成してユネスコ無形文化遺産への登録を目指しており、こうした文化を積極的に紹介していくことで観光客増加を目指す。
同局支局長レイカート・ケッテルハーケ氏(写真右)がその背景を説明。ドイツには、独自の伝統文化が数々あるものの、まだ日本人に認知の低いものもある。たとえば、ドイツといえばビールのイメージが強いが2000年以上前からワイン造りの歴史がある。その歴史を背景に、ドイツ各地ではワインフェスティバルも盛んだという。こうした意外性のある文化や定番の職人技など、ドイツが持つ特色を色濃く打ち出していく考え。
ドイツ観光局は、今回のテーマを「今に息づく伝統(お祭り)」「伝統工芸(音楽と美術)」「食文化(郷土料理)」の3つの柱として分類してプロモーションしていく計画。特に、日本人は伝統文化に対する理解が深いという国民性があり、西山氏は「職人技や培われる歴史を知りたい気持ちが強い」として期待する。
このほか、ドイツ観光局は2015年の年間テーマとして「ドイツ統一25年」「ドイツの観光街道」「ルーカス・クラナッハ(子)生誕500年」を掲げており、積極的なアピールをしていく。
(トラベルボイス編集部:山岡薫)