エミレーツ航空(EK)は、世界的調査会社であるオックスフォード・エコノミクスが実施したドバイの航空関連産業の経済効果を検証した調査結果を発表した。この調査は、エミレーツ航空、ドバイ国際空港やアルマクトゥームインターナショナル空港を所有・運営するドバイ空港、そのほか航空関連産業や、そこから波及するサプライチェーンの経済効果を定量化することで、2013年に航空関連産業がドバイ経済にもたらした効果を粗付加価値(GVA)および雇用の観点で検証したもの。くわえて、2020年と2030年における航空関連産業とその波及効果を試算した。
それによると、エミレーツ航空やドバイ空港をはじめとする航空関連産業がドバイにもたらした経済効果は2013年に267億米ドル。これはドバイのGDPのほぼ27%に相当する。また、ドバイの総雇用者数の21%にあたる41万6500人の雇用を支えた。
総経済効果のうち、エミレーツグループ、ドバイ空港、その他関連事業(ドバイに離発着する航空会社、規制当局、ドバイ・デューティ・フリーなど)を含む主要航空産業がもたらした経済効果は、GVAベースで165億米ドルになったと試算(直接的、間接的、波及的効果を含む)。ドバイのGDPの16.5%に相当するとともに、25万9000人以上の雇用を支えた。
また、航空産業が100米ドルの活動を行うたびに、サプライチェーンの接続や支出といった形で、追加で72米ドル相当が航空産業以外のドバイ現地産業にももたらした。さらに、航空産業で100人の雇用が創出されるごとに、ドバイ全体で116人の追加雇用が生み出された。
▼観光・旅行関連産業の経済的効果は102億米ドル
また、観光・旅行関連産業がもたらした経済的効果はGVAベースで102億米ドルに上り、さらに15万7100人の雇用を支えた。2013年、国外からドバイを訪れた旅行客は約1000万人。その支出は130億米ドルにのぼり、これは同年における世界全体の外国人旅行客支出額の約1%に相当する。世界の航空旅客数のうちドバイが占める割合は0.4%。2000年比で2倍に拡大した。
接続性についての調査では、2013年にドバイから人口1000万人以上の25都市(世界都市の81%)に乗り継ぐことができたと試算。ドバイから人口100万人以上の都市への直行便は149便となり、ドバイは将来的に9億1,600万人超(世界人口の13%)を輸送する市場となる可能性を秘めているとした。また、1990年から2013年までの期間に、ドバイで取り扱った貨物トン数の伸び率は年平均で13.5%に達し、世界平均の5.6%を大きく上回った。
2020年および2030年における経済効果の予測については、旅客と貨物の国際輸送の飛躍的な伸びを背景に、ドバイの航空関連産業は2014年から2020年にかけて、経済全体を上回るペースで成長を遂げる見込み。
また、ドバイ国際空港(DXB)およびドバイ・ワールド・セントラルにあるアル・マクトゥーム国際空港(DWC)の現在の拡大計画に基づく成長・モデリング予測をベースに試算すると、航空および観光関連の経済的効果は2020年に531億米ドルまで増加すると予測。これはドバイのGDPの37.5%に相当し、75万4500人以上の雇用を支えると見込まれている。
2020年までに、エミレーツ航空が輸送する旅客数は7000万人に達する見込み。さらに、2020年のドバイ万博(Expo 2020 Dubai)の開催時には、2000万人以上の旅行者がドバイを来訪すると見込まれている。これに合わせて、ドバイ国際空港では空域、飛行場、スタンド、ターミナルの拡充を実施する。2015年までに発着する機体を6割増やし、利用客数を2018年までに9,000万人に、2020年までには1億2,650万人に伸ばす計画。これは2010年当初の計画より約3割高い数字になる。
さらに、2020年以降では、2030年までに航空関連産業がもたらす経済効果は881億米ドルに上り、119万4,700人の雇用を支えると試算された。