政府は14日、平成27年度予算案を閣議決定した。航空局関係予算案は歳入/歳出で前年度の3656億円を上回る3695億円を計上。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた首都圏空港の機能強化、空港の防災・減災対策および航空保安対策の向上、航空ネットワークの利便性向上などによる地域活性化のほか、非公共予算として操縦士、整備士、製造技術者の養成および確保も進めていく。
前年度よりも予算が増えた項目は、まず羽田空港の整備。前年度の291億円から292億円に増額された。平成27年度予算では、エプロン・誘導路の整備、国際線と国内線地区を結ぶトンネル(際内トンネル)の整備、空港アクセス道路の改良、C滑走路の耐震対策、航空保安施設の更新・改良を進めるほか、成田空港を含む首都圏空港の機能強化の具体化に向けた調査も実施する。
また、成田空港の整備も前年度の29億円から44億円に増額。庁舎耐震対策を行うほか、国際会議参加者などの入国手続きの迅速化を図るため、日本ではじめてとなるファーストレーンの設置などを行う。
一般空港の整備も前年度の731億円から743億円に増額された。このなかには、新規事業として福岡空港の滑走路増設事業が認められた。事業期間は約10年、総事業費は約1,643億円を見込む。来年度は5億円を計上し、調査・設計を行う。この事業では、福岡空港における空港経営改革(コンセッションなど)を進めることで、適切な財源を確保するとしている。また、総事業費約1,993億円の那覇空港の滑走路整備を平成32年3月31日の供用開始を目指して引き続き実施する。
航空路整備では前年度の255億円から270億円に増額。統合管制情報処理システム整備などの事業を行う。また、離島航空事業助成も前年度の15億円から53億円に増額された。
一方、関西空港/伊丹空港については、前年度の87億円から83億円に減額。老朽化が進む航空保安施設の更新のほか、成田空港同様に関西空港でもファーストレーンの設置を行う。中部空港は、前年度24億円から3億円に大幅減額。主な事業は航空保安施設の更新。リニア中央新幹線開業にともなって航空需要の変化が見込まれることから、今後の中部圏の空港のあり方について調査を進める。
操縦士、整備士、製造技術者の養成および確保として、国交省本省枠で4,600万円、独立行政法人航空大学校枠で9,900万円の合計1億4,400万円を計上した。民間養成機関の操縦士供給能力の拡大、航空大学校のさらなる活用、航空会社の効率的な操縦士養成の促進、操縦士の健康管理の向上を推進する。民間養成機関では高額な学費負担を軽減するための奨学金制度の設置を検討するほか、技量レベルの向上に向けた取り組みを進める。航空会社の自社養成を進めるため、AQP(Advanced Qualification Program)導入に向けた環境整備を行う。操縦士の健康管理では、加齢乗員の一層の活用を進めるほか、航空身体検査証明制度の適正な運用を強化していく。
(トラベルボイス編集部)