ANAホールディングスは平成27年3月期第3四半期連結決算(平成26年4月1日〜12月31日)をまとめた。それによると、羽田発着枠の拡大に合わせて国際線の事業規模を拡大したことから、売上高は前年同期比9.1%増の1兆2972億円となった。事業拡大に連動して燃油費などの営業費用も同7.8%増の1兆2079万円に増加したものの、営業利益は同29.3%増の892億円を計上。経常利益は同39%増の745億円、四半期純利益も同57.2%増の523億円となり増収増益を達成した。
セグメント別で見ると、航空事業の売上高は前年の1兆338億円を上回る1兆1,242億円、営業利益も前年の626億円を上回る782億円となった。
国際線旅客では、羽田発着枠の拡大にともないサマーダイヤーから7路線を新規開設したほか、3路線で増便を実施した。成田ではデュッセルドルフ線を開設した。需要喚起として、日本発欧米路線ではじめてファーストクラス割引運賃「ファースト割」を設定。「ビジ割」「エコ割」などの割引運賃を日本発全方面で設定した。その結果、長距離路線の需要が好調に推移し、中国・アジア路線では訪日需要を取り込んだことから、旅客数は同12.7%増の536万1000人と大幅増、それにともない旅客収入も同19.1%増の3541億円となった。
国内線旅客では、7月に伊丹・札幌/青森線を新規開設。ウィンターダイヤからは羽田/中部線を新規開設、羽田/岡山・沖縄線を増便した。また、7月には普通運賃などを改定。各種「旅割」運賃の水準を見直すなど需要喚起に努めた。その結果、旅客数は同1.0%増の3288万1000人、旅客収入も同1.0%増の5232億円となった。
バニラエア(JW)は11月から成田/香港線に新規就航。航空券の発売を早めることで需要の取り込みに注力したほか、認知度向上のために異業種としのコラボレーションも継続的に展開した。その結果、旅客数は82万1000人、利用率は76.9%。JWを含むその他の収入は同10%増の1206億円となった。
旅行事業の売上高は同2.1%減の1306億円と前年を下回ったものの、コスト削減などに努めた結果、営業利益は同5.5%増の44億円となった。国内旅行では、「旅作」の一部をANAじゃらんパックで取り扱うことにしたため、売上高が前年を下回った。海外旅行では、羽田路線拡大にともなって「ANAハローツアー」も拡充。日本各地発の需要を取り込んだ。訪日旅行では、主に台湾・香港からの需要を取り込んだことで、取扱高は過去最高となった。
3月期の見通しについては、為替レートや原油価格の変動リスク、海外景気の下振れリスク、国際的なイベントリスク、国内外での競争激化が予想されるものの、前回予想からの見直しは行わず、売上高1兆7000億円、営業利益850億円、経常利益550億円、当期純利益350億円を見込む。