東京商工会議所は2015年11月9日、第192回議員総会・第677回常議員会で「東京の国際競争力強化に向けた要望」と題した政策提言と要望について決議をおこなった。この要望書は首都圏問題委員会が中心となってとりまとめたもので、東京のさらなる発展を「地方創生」を車の両輪に置き、「2020年までに着実に成果を出すべき政策」と「おおむね10年後(2025年頃)を見据えた中長期的な政策」を同時に推進する必要性を訴えるもの。
都市再開発や交通ネットワークの充実、訪日外国人旅行者のさらなる増加に向けた政策提起などを含め、幅広い分野について網羅的に提案する内容で構成。今後おもに国土交通省に向けて実現を働き掛けていく予定となっている。
具体的には、「2020年までに着実に成果を出すべき政策」のなかでは、東京の国際競争力を高めて新たな成長を取り込むための政策として、「国際競争力強化に資する都市再開発・まちづくりの推進」に関する項目を提起。例えば、都市再生緊急整備地域を対象とした、法制上の規制緩和策や税制支援策、金融支援策などを求める内容を含めた。
同時に、国家戦略特区を基本とする特例措置の速やかな推進や、都心型MICEと都市観光を促進することの重要性に言及。道路法上では多言語対応を急ぐための手続き簡素化などを期待する内容となっている。
また、「陸・海・空の交通ネットワーク強化と機能の向上」では、国際競争力の強化と地域経済の活性化を目的とした施策として、外環道(関越道~東名高速)の整備や、首都圏高速道路のシンプルな料金体系の構築、鉄道交通網の強化策としては交通系ICカードのエリア拡大や事業者間での相互利用、無料Wi-Fiの導入の推進が重要であるとした。
首都圏空港に関しては、羽田空港の機能強化に向け、地元住民や環境、港湾機能に十分配慮したうえで、滑走路処理能力の再検証や特定時間帯の活用、都心上空飛行経路の設定などに関する検討を求める内容。そのほか、羽田・成田両空港の年間合計発着枠や就航都市数の拡大、それに伴う空港管理体制の充実が盛り込まれている。
さらに、「訪日外国人客のさらなる増加に向けた政策」としては、2015年6月に策定された「観光力行実現に向けたアクション・プラン2015」に即して、出入国手続き迅速化、環境整備や免税店拡大、通信環境の改善など一連の対策を急ぐ必要性を重視。
加えて、現在大田区での条例制定が進められている国家戦略特区における外国人滞在施設経営事業(民泊事業)の範囲を、ほかのエリアにも広げることの協議・検討が必要であるとしたほか、地方創生や被災地支援の観点から、複数の都道府県を網羅する広域観光周遊ルートの形成促進から国内観光の振興につなげることなどを掲げた。
なお、「おおむね10年後(2025年頃)」をターゲットとする中長期な政策としては、行政、医療、福祉分野充実などの観点で必要となる「都市機能や居住機能の集約化とコンパクト化」、リニア中央新幹線や羽田空港の整備新設などを含めた「交通ネットワークのさらなる整備」などが盛り込まれている。
本提言書の全文は以下のリンクから参照できる。